フランスのローランギャロスで開催されている全仏オープンテニスは5日、男女シングルスの準決勝が行われた。男子の国枝慎吾(ユニクロ)が世界ランキング5位のFERNANDEZ(アルゼンチン)に6-3、3-6、7-5、女子の上地結衣(エイベックス・グループ・ホールディングス)がGRIFFIOEN(オランダ)に5-7、6-2、7-6(6)とそれぞれフルセットで勝利し、決勝へ駒を進めた。
3度のマッチポイントをひっくり返した国枝の精神力の強さ
国枝の相手FERNANDEZはクレーコートを得意とする、パワーもスピードも兼ね備えた伸び盛りの選手だ。そのFERNANDEZが赤土のコートの上で躍動した。第1セットは国枝に6-3で先取されるも、第2セットはリターンエースやサイドラインぎりぎりのクロスなど、多彩なショットで逆転に成功。
ファイナルセットは、互いのサービスゲームをブレークし合う激闘に。第7ゲームからFERNANDEZが3ゲームを連取すると、その勢いのまま、厳しいコースにことごとくショットを決めて、5-4と国枝を追い詰めた。
だが、ここからが王者・国枝の真骨頂だ。FERNANDEZに3度、マッチポイントを握られるも、持ち前の高い集中力を保ちながら緩急をつけた配球で粘る。5-5に追いつくと、FERNANDEZのダブルフォルトで6-5と再びリードを奪うことに成功。その後も息もつかせぬ展開が続いたが、要所でサイドに流れるサーブや得意のダウン・ザ・ラインを決めた国枝が勝利を手にした。
「マッチポイントを握られた時に、諦めずに勝ちのイメージを持ち続けたことが勝利につながった」と、試合後に振り返った国枝。炎天下の中の2時間半の激闘。疲労感が漂う中にも、「やってきたことを出せた」と充実の表情をのぞかせた。6日の決勝の相手は、地元フランスのHOUDET。彼もまたクレーを得意としているが、国枝はこう言いきる。「自分も練習をしっかり積んできた。足りなかったのはクレーコートでの試合勘のみ。今日の試合で(それは十分養えたので)明日につながると思う」
上地も3セットマッチを制して決勝進出
男子に先駆けて行われた女子の準決勝。第1セットを逆転で奪われた上地は、第2セットはGRIFFIOENの最初のサービスゲームをブレークするなど、まずまずの立ち上がりで取り返す。ファイナルセットに入っても一進一退の攻防が続き、6-6からタイブレークに。ここでも取っては取り返すの大接戦の末、上地の好サーブが相手のリターンミスを誘って、ついにマッチポイント。最後はGRIFFIOENのダブルフォルトで、上地が辛くも勝利を手にした。
上地はWHILEY(イギリス)と組んだダブルスでも、ELLERBROCK(ドイツ)・MONTJANE(南アフリカ)組を7-6(6)、 6-3のストレートで破り、決勝進出を決めている。最終日の6日は、単複2冠達成に期待がかかる。
(取材・文/荒木美晴、撮影/吉村もと)