「第33回飯塚国際車いすテニス大会(ジャパンオープン/ITFスーパーシリーズ)」が16日から福岡県飯塚市で行われている。男子は世界ランキング2位のヨーキム・ジェラード(ベルギー)がキャンセルした以外は、同1位から10位の選手までがエントリー。女子は世界ランク2位の上地結衣(エイベックス)、クアードは世界ランク1位でリオパラリンピック金メダリストのディラン・アルコット(オーストラリア)らが出場している。
17日の試合で注目を集めたのが、女子シングルス1回戦の田中愛美(ブリヂストンスポーツアリーナ)対堂森佳南子(ケイアイスター不動産)のカードだ。得意のフォアで主導権を握りたい田中に対し、ショットを散らして試合を組み立てるベテランの堂森。序盤から一進一退の攻防が続き、集中力を高める両選手の白熱したラリーに観客も沸いた。試合は7-5、7-6(3)で田中が勝利した。
両者は昨年の日本マスターズ以来の対戦。その時も3時間を超える大接戦となり、田中が制している。その試合が田中にとって対堂森戦としては初勝利で、「(それを思い出して)少し緊張しました。今回も長い試合になると思っていたので、しっかり2セットで抑えることができてほっとしています」と田中。
2回戦は、世界ランク5位で、リオパラリンピック銀メダリストのアニク・ファンクート(オランダ)と対戦する。田中は同15位で強敵の胸を借りる格好だが、「得意のフォアのクロスをしっかり低く、速く入れる練習を積んできました。左利きの相手のバック側に入るショットなので有効ですし、打ち負けないようにしたい」と意気込みを語った。
また、ともに初出場となる21歳の大谷桃子(西九州大/エイベックス)と16歳の船水梓緒里(麗澤高/エイベックス)の注目の若手選手同士の対戦は、6-0、6-2のストレートで大谷が勝利した。船水は強化中のサーブの出来に波があり、最後までリズムを掴めなかった。
大谷は2回戦で第2シードのディード・デ・グルート(オランダ)と対戦する。小学3年からテニスを始めた大谷は、高校時代にインターハイに出場した経験を持つ。高校卒業後、薬の副作用で車いすに乗るように。昨年、“観客”としてこの大会を観戦して刺激を受け、本格的に車いすテニスを始めた。「そのジャパンオープンに出場するのは特別なこと。デ・グルート選手はチェアワークも速いし、ボールも勢いがある。うまく緩急を使って自分らしいテニスができれば」と話していた。
また、22歳の高室冴綺(スタートライン)も2回戦に進み、第5シードのサビーネ・エラーブロック(ドイツ)と対戦する。
18日は、男子シングルス2回戦に国枝慎吾(ユニクロ)が登場。世界ランク4位のグスタボ・フェルナンデス(アルゼンチン)と対戦する。国枝はリオパラリンピック後は右ひじ痛のため休養。世界のトップランカーがそろう国際大会としては今大会が本格的な復帰戦となり、1回戦から注目が集まっている。女子シングルス第1シードの上地は準々決勝に登場する。
(取材・文・撮影/荒木美晴)