国内のクラブチーム日本一を決める「天皇杯 第48回日本車いすバスケットボール選手権大会」が1月20日から2日間の日程で、東京体育館で開催された。新型コロナウイルスの影響で中止が続き、2019年大会以来、3年半ぶりの開催。決勝は、パラ神奈川スポーツクラブが初優勝を狙ったNO EXCUSEを51-44で下し、1997年大会以来となる4度目の優勝を果たした。
鳥海「相手に打たせない良いディフェンスができていた」
第1Qでリードを許したパラ神奈川SCは、第2Qに鳥海連志(2.5)の連続得点で逆転に成功。4点リードで迎えた後半は、素早く粘り強いディフェンスで主導権を握り、また攻撃面でも古澤拓也(3.0)がスチールから速攻のチャンスを作るなどして得点を重ね、相手を突き放した。過去に5度の準優勝を経験しているNO EXCUSEは、香西宏昭(3.5)や橘貴啓(4.0)らのゴールで最後に追い上げを見せたが、届かなかった。
パラ神奈川SCのキャプテンで、大会MVPを獲得した鳥海は、「ディフェンスにマインドがしっかり向いていた。チームとして勝ちに行くことをやり続けて、いい流れをつかめた」と振り返り、「これから連勝するチームに作り上げていくためにも、しっかりとチームビルディングを図っていきたい」と語った。
3位決定戦は埼玉ライオンズが千葉ホークスを下す
3位決定戦は、埼玉ライオンズが66-46で千葉ホークスに勝利した。多くのメンバーが入れ替わり、昨年から新体制で強化に励んできた埼玉ライオンズ。前半はリードを許したものの、要所で赤石竜我(2.5)が3ポイントシュートを決めて点差を縮めると、第3Qで逆転に成功。第4Qは相手のミスをさそうディフェンスで流れを引き寄せ、千葉ホークスのゴールをわずか「2」に抑える集中力を見せた。
キャプテンの赤石は、「目標だった日本一に届かず、責任を感じているし悔しい。それでも勝って終われたのは、新しいチームとしては大きな収穫だったと思う。個人としては、強化してきたアウトサイドのシュートが決まり、勝利に貢献できて良かった。主力だった先輩たちが築いたものを引き継ぐが、残してくれた貯金にいつまでもすがっていてはいけない。今のチームを変えられるのは僕たちだけ。その意識を持って、これからチームづくりをしていきたい」と話し、前を向いた。
新生・宮城MAXは連覇を逃す
5・7位決定戦は、LAKE SHIGA BBCが宮城MAXに54-49で、伊丹スーパーフェニックスがワールドBBCに71-63でそれぞれ勝利し、5位の成績をおさめた。
11連覇中だった宮城MAXは勝利はならず。ベテラン勢の引退などもあって新チームで挑んでおり、今大会は女子日本代表の萩野真世(1.5)がプレーヤー兼アシスタントコーチとして登録。コート上で指示を出しながら、連続3ポイントシュートを決めるなど奮闘した。
(取材・文/荒木美晴、撮影/佐山 篤/BestSmile Japan)