「天皇杯 第49回日本車いすバスケットボール選手権大会」は2月4日、順位決定戦が行われ、決勝で前年優勝の神奈川VANGUARDSが埼玉ライオンズを47-44で下し、連覇を果たした。
試合開始後の約3分間は両チームともシュートまでいくものの決め切れないというスタートになった決勝戦。神奈川VANGUARDSが先制するが、すぐに埼玉ライオンズが逆転し、第1Qは5点差、第2Qは7点差にリードを広げた。後半に入り、ゴール下の連携が機能して得点を重ね、じわじわと追い上げていく神奈川VANGUARDS。第4Qはフリースローの失敗など我慢の時間帯があったが、古澤拓也(3.0)から髙柗義伸(4.0)、そして鳥海連志(2.5)へと華麗なパス回しでシュートを決めて、39-39の同点に追いついた。試合時間残り1分を切り、神奈川VANGUARDSはファールで相手にフリースローのチャンスを与えて再びリードを許すが、残り48秒で同点に。さらに相手シュートのリバウンドをつなげて古澤が落ち着いて得点を決め、逆転に成功。その後はフリースローを連続で失敗するも1点を追加し、47-44で勝利した。
昨年4月にチーム名を「パラ神奈川」から変更した神奈川VANGUARDS。チーム名には、パラスポーツ界をより多くの人に知ってもらうための企画や活動など、自分たちが「先駆者」として動いていくという意味が込められているという。今大会は、ハイパフォーマンスや次世代で代表活動をしている選手がほとんどというなかで、決勝では苦戦はしたが勝ち切った。
大会MVPに選出された丸山弘毅(2.5)は、「自分たちがやりたい展開ができなかったけれど、その中で強化してきたディフェンスを意識してプレーできた」と、決勝の死闘を振り返った。また、会場では観戦有料ながら多くの観客が会場で声援を送っていたことについて、「お客さんの声がすごく聞こえていた。苦しい展開のなか、応援で雰囲気を作ってくれた。選手としてすごく幸せなことだし、すごく嬉しかったです」と笑顔を見せた。
また、決勝に先立ち行われた3位決定戦は、伊丹スーパーフェニックスがNO EXCUSEに53-40で勝利した。スターティングメンバ―に名を連ね、プレータイムを伸ばしたエースの村上直広(4.0)は精度の高いシュートを幾度と放ち、チーム最多の22得点をマーク。3位獲得の立役者となり、オールスター5にも輝いた。
(取材・文/荒木美晴、撮影/植原義晴)