ウィスラー・クリークサイドで行われているアルペンスキー。2日目となる今日は立位のスラローム(回転)が行われた。
メダルが期待されていた三澤拓(LW2)は1本目のゴール前終わり際にまさかの転倒。日本勢は小池岳太(LW6/8-2)18位が最高、井上真司(LW6/8-2)が29位とメダルなしに終わった。
だが、会場をもっとも沸かせたのはニュージーランドのAdam HALL (LW1)だ。順調な滑りで観客の前に現れたが、コース途中で転倒。しかし、すぐに立ち上がって滑りきると、絶対王者のGerd SCHONFELDER (ドイツ・LW5/7-2)を抜き、1位に躍り出た。この新しい王者は、なんと両足義足。チェアスキーで行う座位ではなく、義足で競う立位カテゴリーでの参加にこだわった。
パラリンピックはトリノに続き2回目。試合後のインタビューでは、「1本目がよい成績なのはわかっていたけど、(転倒したのに)滑り終えて自分の名前がスコアボードの一番上にあったのを見たときは奇跡としかいいようがない」と喜びを表した。また、自身も尊敬するSCHONFELDERが良いチャンピオンだと褒めていたと伝えると、「すごく嬉しい。彼は本当に生きる伝説だよね。いつも彼みたいになりたいと願っている」と喜んだ。
一方、2位に終わったSCHONFELDERは、今大会終了後の引退がささやかれている。本人に尋ねると、「来年のワールドカップまではがんばろうかと考えてる。でも、僕ももう39歳だし、小さな子どももいる。長い遠征生活もきつくなってきた。なにより、6回もパラリンピックに出場したなら充分だろう?」と笑いながら答えた。日本選手については、「東海は今大会に出られなくて、とても残念だ。良いライバルだと思っている。三澤は今日は転倒したの? 知らなかったけど惜しいね。彼もとても良い選手だよね」と語った。
【男子スラローム座位・順位】
18位 小池岳太 (LW6/8-2)
29位 井上真司(LW6/8-2)
途中棄権 三澤拓 (LW2)
(取材・文/加々美美彩、撮影/ナカハル)