第24回目を迎える「2018ジャパンパラアルペンスキー競技大会」が2月2日、菅平高原パインビークスキー場で開幕した。国内最高峰の大会で、3月9日に開幕する平昌パラリンピック日本代表選手も参加するとあって注目度は例年以上に高く、多くの報道陣が集まった。今大会は技術系種目の大回転と回転を実施する。
3日は大回転が行われ、男子立位は三澤拓(SMBC日興証券)が優勝した。三澤は昨年12月のW杯オーストリア大会の大回転で転倒し、左脚を骨折。今大会が雪上の復帰戦となったが、1カ月半のブランクを感じさせない滑りで、ライバルの小池岳太(JTBコミュニケーションデザイン)に競り勝った。レースを振り返り、「滑りにメリハリをつけて、リスクがあるところはある程度ラインを維持して、速く滑るというよりは、綺麗な弧を描けるようにと思ってやりました」。平昌パラリンピック出場の条件を満たした三澤は本番に向けて再スタートを切り、「平昌のコースは距離があるので、フィジカルを上げていきたい」と、力強くコメントした。
混戦の男子座位は狩野亮(マルハン)が制した。今シーズンは悪天候等の影響でワールドカップが中止になるなど、雪上練習が十分には積めておらず、今回が久しぶりのレースとなった。1本目でミスが出た狩野は、「(選手が座る)シートのカップが浅いと感じた」として、1本目のあとにシートごと変更。2本目はきっちりと修正し、冷静に攻めの滑りにつなぐなど、さすがの調整能力の高さを見せた。また、2位には1本目で狩野のタイムを上回った夏目堅司(RDS)が、3位に鈴木猛史(KYB)が入った。優勝候補のひとりである森井大輝(トヨタ自動車)は2本目で転倒し、途中棄権した。
女子座位は村岡桃佳(早稲田大)が優勝。これまで大回転では使用していなかった、風の抵抗を減少させる「カウル」を、この1月から使い始めた。チェアスキー界の道具の進歩は目覚ましく、「新しいカウルはブーツを履くより軽く、カウルを付けたほうが速いので」と村岡は話す。“課題”とするカービングターンは、精度を上げることがパラリンピックでのメダル獲得へのカギとなる。村岡は「左右差は少しずつ減ってきたけれど、まだまだという感じ。もっと改善したい」と話し、前を向いた。また、女子立位は本堂杏実(日体大)が優勝した。
(取材・文/荒木美晴、撮影/植原義晴)