パラアイスホッケー決勝が18日、江陵ホッケーセンターで行われ、アメリカがカナダに延長戦の末に2-1で勝利。金メダルを獲得した。
毎回、優勝候補に挙げられながら実はトリノ大会以来、3大会ぶりの決勝進出となった、現世界ランク1位のカナダ。対するアメリカは、ソルトレーク、バンクーバー、ソチと3大会で金メダルを獲得している“パラリンピックの王者”だ。双方とも互いに認めるトップレベルのチームで、1次リーグ、準決勝とも圧倒的な強さで相手を退け、決勝に勝ち上がった。
第1ピリオドの12分6秒、カナダが均衡を崩す先制点を挙げる。パスを受けたBilly Bridges(FW)がゴール前に持ち込み、アメリカの守護神・Steve Cashのキャッチをはじく強烈なシュートを決めた。アメリカのシュート数は「0」。しかしながら、守りに徹した戦術が、このあとの反撃へとつながっていく。
第2ピリオドは、アメリカがカウンターから攻め込むも、カナダがゴール前を死守。1‐0のまま最終ピリオドに突入した。同点に追いつきたいアメリカはパワープレーのチャンスでリズムを作ると、徐々に主導権を握る。そして試合時間残り1分21秒でゴールキーパーを上げて6人攻撃に。カナダにパックを奪われ、ゴールに向かって放たれるが、これはポールに弾かれ、ぎりぎりノーゴール。その直後、カウンターから一気にパックを運び、Brody Roybal(FW)からゴール前のDeclan Farmar(FW)へパス。これをFarmarが鮮やかに決めた。試合時間残り38秒の劇的展開に、ほぼ満員の会場は大歓声に包まれた。
そして、アメリカは延長戦でもこの勢いをキープ。開始から3分30秒、再びゴール前に詰めたFarmarがゴールを決め、金メダルを手にした。アメリカは主力DFのTaler CallonとNikko Landerosが欠場していたが、それを感じさせないチーム力でカナダと渡り合った。
平昌大会はソチ銀メダルのロシアが国ぐるみのドーピング問題で不在。実質的にカナダとアメリカが2強で、3位以下が続くという勢力図だった。両チームとも個々のスケーティングやハンドリングといった基礎技術が高く、その上にスピードと洗練された戦術が加わり、得点が生まれる。何より、パックそしてゴールへの執着心は、見る者を引きつけ、ホッケーの醍醐味を教えてくれた。
<最終順位>
1位 アメリカ
2位 カナダ
3位 韓国
4位 イタリア
5位 ノルウェー
6位 チェコ
7位 スウェーデン
8位 日本
(取材・文:荒木美晴、写真:フォトサービス・ワン/植原義晴)