アイススレッジホッケージャパンパラリンピック競技大会は、地震の影響で12日の試合を中止し、13日以降は予選のみの総当たり戦で試合を行うことになった。それに伴い、13日は日本対アメリカ、ノルウェー対カナダの2試合が行われた。第1試合に登場した日本は、カナダに0-5で敗れた。
日本0-5カナダ
初戦のノルウェー戦でディフェンス力に課題を残した日本は、どのポジションもこなせる三澤英司をフォワードからディフェンスに変更し、守備の強化を図った。
第1ピリオドの開始直後は一進一退の攻防が続くが、時間の経過とともに試合の主導権を握ったのはカナダ。3:42には、センターライン付近で日本のパスをカットし、Billy Bridges(FW)が前線に持ち込んでゴール右側から先制点を決めた。続く7:28にも2点目を挙げられ、終盤には日本がペナルティにより、一人少ない苦しい場面を迎える。そしてそのキラープレー中の14:46に、日本ゴール近くのフェイスオフからこぼれたパックを拾われ、Graeme Murray(DF)がブルーライン近くから強烈なロングシュート。これを決められ、3失点目を喫した。
第2ピリオドも、カナダの早いチェックで日本の持ち味であるスピードを生かしたプレーが発揮できず、押し込まれる展開に。この日のマスクを被るGK・馬島誠が何とか猛攻をしのぐが、12:45にはゴール前の混戦から再びBilly Bridgesに追加点を入れられた。
4点ビハインドで迎えた最終ピリオド。なんとしても1点を取りたい日本は、フォーメーションをたて直して攻撃に転じるが、やはりカナダの強いボディチェックと早い戻りに動きを封じ込められ、ゴールは遠いまま。終盤には逆にカナダの猛攻を受け、12:27にDominic Larocque(FW)にゴール前でこぼれたパックを押し込まれた。5点を追う日本は、試合終了間近に決定的チャンスを何度も作るが、相手の鉄壁のディフェンスの前に最後までゴールを割ることができなかった。
トータルシュート数は、カナダの32本に対して、日本はわずか8本。強豪との対戦によって、日本の攻撃力と決定力不足という課題も浮き彫りになってしまった。
試合終了後、中北浩仁監督は「最初から須藤と三澤のディフェンスを固定したことで、フォワードの上原や高橋など動きが良くなるなど、ある程度の成果は見られた。だが、2セット目、3セット目が続かない。ゴールキーパーも含めて、強化は急務。最後は日本が押していたのは良かったけれど、点につなげないと」と、反省点を口にした。
アメリカ2-3ノルウェー
第2試合のアメリカ対ノルウェーの試合は、見ごたえのある接戦となった。若い選手が多く荒削りながら勢いのあるアメリカ、対してノルウェーはスーパーエースのRolf Einar Pedersenら個人技に長けるベテラン勢が中心となってゲームメークをしていく。
第1ピリオドは、攻守が激しく切り替わり、終了直前にアメリカがシュートを放つがゴールポストに当たりノーゴール。そのままブザーが鳴ったが、その後の協議により、パックがゴールラインを越えていたと認められ、アメリカの得点となった。
第2ピリオドは、ノルウェーが反撃に出る。しぶとくアメリカゴール前でシュートを狙い、7:31にはHelge Bjornstad(FW)が鮮やかな同点弾を、さらに12:52にはStig Tore Svee(DF)が混戦からこぼれたパックに反応してゴールを決め、逆転に成功した。
最終ピリオド、両チームとも積極的にゴールを狙うなか、試合を動かしたのはアメリカ。中盤にはパワープレーのチャンスを生かして猛攻を仕掛け、6:40にAlexi Salamone(FW)が同点ゴールを決めた。
試合は2-2の同点。3分間の休憩の後、5分間の延長戦に突入した。息をのむ激しい攻防が続く中、魅せたのはノルウェー。相手ゴール前に詰めてディフェンスを翻弄した4:05、キャプテンのThomas Jacobsen(FW)が強烈なシュート。これが見事に決まり、ノルウェーの勝利が決まった。
●13日の結果●
<第1試合>
日本 0-0-0=0
カナダ 3-1-1=5
【得点】
カナダ/① Billy Bridges ②Kevin Rempel(A)Billy Bridges、James Gemmell ③Graeme Murray(A)Marc Dorion ④Billy Bridges ⑤Dominic Larocque(A) Marc Dorion、Kevin Rempel
<第2試合>
アメリカ 1-0-1-0=2
ノルウェー 0-2-0-1=3
【得点】
アメリカ/①15:00 Taylor lipsett(A)Alexi Salamone ②6:40 Alexi Salamone(A)Nikko Landers
ノルウェー/①7:31 Helge Bjornstad (A)Ole Bjarte Austevoll ②12:25 Stig Tore Svee (A)Polf Einar Pedersen ③4:05 Thomas Jacobsen (A) Stig Tore Svee
(取材・文/荒木美晴・撮影/吉村もと)