地震の影響で、当初の予定を変更して行われていたアイススレッジホッケージャパンパラリンピック競技大会は14日に最終日を迎え、残りの2試合が行われた。第1試合に登場した日本はアメリカと対戦し、0-6で敗れた。第2試合はノルウェーがカナダに1-0で勝利し、3戦全勝。この結果、最終順位は優勝ノルウェー、2位カナダ、3位アメリカ、4位日本となった。閉会式では会場の選手、スタッフ、観客ら全員で、東日本大震災の犠牲者に黙とうを捧げた。
日本0-6アメリカ
ここまで2連敗と、後がない日本。第1ピリオド、日本は得意とする組織プレーで相手陣地に攻め込むなど良い立ち上がりを見せた。
しかし、4:35に受けたペナルティーによって一人少ない状況になったことで、流れが一変。キラープレー中の5:09、ブルーライン付近でパックを奪われ、スピードのある攻撃からKevin McKee(FW)にシュートを決められた。
そこから防戦一方になった日本は、スタメンマスクをかぶったGKの馬島誠を中心に、全員でゴールを守るものの、立て続けに3点を追加された。
第2ピリオドも流れはアメリカ。なんとしても攻撃に転じたい日本はGKをベテランの福島忍に交代した。だが序盤、またもペナルティーから相手にパワープレーのチャンスを与えてしまい、3:58に失点。さらに、6:29にも追加点を許し、6点のビハインドで最終ピリオドを迎えた。
一矢報いたい日本は最終ピリオドも攻撃の形を作って攻め込むが、アメリカの素早いチェックでチャンスをつぶされ、最後まで点を取ることはできなかった。この結果、日本は3敗となり、最下位が決まった。
ノルウェー1-0カナダ
第2試合のノルウェー対カナダの試合は、手に汗握る接戦となり、会場を大いにわかせた。
両チームとも無得点で迎えた第2ピリオド。先制点を挙げたのは、ノルウェーだった。成長めざましい若手のフォワード・Audun Bakkeが相手陣地の左サイドで激しいボディチェックに合いスティックを落としながらもゴール前にパス。それを詰めていたHelge Bjornstad(FW)がきっちりと合わせてゴールを決めた。
最終ピリオドの終盤には、カナダも猛攻を仕掛けるが、ノルウェーのデイフェンス陣が確実にゴールを守り、試合終了。ノルウェーが3戦全勝とし、ジャパンパラリンピックが2008年に4カ国の対抗戦として開催されて以降、初の優勝を飾った。
毎試合接戦となるこのカード。この試合の主導権を握ったのは、ノルウェーだった。経験が豊富で個人技に長けたベテランを中心にパックをまわし、スピードはあるがまだ粗削りな部分が見える若いカナダを翻弄した。
今大会、カナダとアメリカは10代、20代前半の選手を多数起用し、若いチームで試合に臨んだ。対するノルウェーと日本は、30代後半の選手が中心だ。日本は残念ながら敗れたが、ノルウェーはその豊富な経験を戦術に大いに活かして勝利を手にした。スレッジホッケーの奥の深さを感じさせる大会となった。
閉会式で黙とう
今大会は初日の試合の途中で宮城県三陸沖を震源とした地震が起こり、会場の安全確認による中断をはさんで再開された。しかし、12日未明には長野でも大きな地震があり、12日は試合が中止された。13日以降はスケジュールを一部変更して再開され、選手らは大震災に心を痛めながらも、自分自身を奮い立たせて試合に臨んでいた。
最後まで戦い抜いた各国の選手・スタッフ、レフェリー、安全を第一に会場の整備にあたったビッグハットの関係者の方々に敬意を表する。14日の閉会式では、全員で黙とうを捧げた。
●14日の結果●
<第1試合>
日本 0-0-0=0
アメリカ 4-2-0=6
【得点】
アメリカ/①Kevin McKee(A)Nikko Landers ②Kevin McKee(A)Alexi Salamone ③Greg Shaw(A)Rico Roman ④Taylor Lipsett(A)Alexi Salamone ⑤Kevin McKee(A)Alexi Salamone ⑥Greg Shaw
<第2試合>
ノルウェー 0-1-0=1
カナダ 0-0-0=0
【得点】
ノルウェー/①Helge Bjornstad(A)Audun Bakke
●最終順位●
1位 ノルウェー
2位 カナダ
3位 アメリカ
4位 日本
(取材・文/荒木美晴、撮影/吉村もと)