下肢に障がいを持つ選手による「パラ・パワーリフティング2017ジャパンカップ」が16日、北九州芸術劇場で行われた。IPC(国際パラリンピック委員会)公認大会で、9月にメキシコで行われる世界選手権の最終予選を兼ねた大会。東京パラリンピックをめざすベテラン勢から、初出場7名を含む有望新人選手まで、全国から44名(タイからの招待選手3名を含む)が参加した。
女子は、男子と比べて国内の競技人口が少ないが、2020年東京パラリンピック開催決定をきかっけにこの数年で少しずつ選手が増えている。今年は45㎏級にパラ水泳で活躍した平野エリ子(パワーハウスつくば)、73㎏級にパラ陸上の現役投擲選手でもある坂元智香(個人)が初出場を果たした。日本女子を牽引する45㎏級の小林浩美(個人)は手足の末端神経と筋肉が徐々に失われていくシャルコー・マリー・トゥースを患い、上半身にも障がいがあるが、日々の鍛錬のもと、トップで活躍する。この日は60㎏を挙げて優勝し、女子の最優秀選手賞に選出された。
男子では、59㎏級の戸田雄也(個人)が120㎏を、80㎏級の宇城元(順天堂大)が186.5㎏を、97㎏級の馬島誠(個人)が146㎏を、また107㎏級で中辻克仁(個人)が197㎏を挙げて、それぞれ日本新記録をマークした。
中辻はその後、特別試技で「国内最重量」となる200㎏に挑戦。惜しくも失敗したが、「メキシコの世界選手権に向けて手ごたえを感じた。このクラスは200㎏がパラ出場のボーダーラインになるので、次にしっかりつなげていきたい」と力強く語った。
また男子のジュニアでは、59㎏級の奥山一輝(順天堂大)、107㎏超級の18歳・松崎泰治(個人)がそれぞれ日本記録を更新した。
メキシコ世界選手権は9月29日〜10月6日まで。ジュニアの既登録選手を除き、この大会への参加が東京パラリンピック選考に必須となる。また、今回の会場となった北九州芸術劇場を舞台に、来年9月に「ワールドパラ・パワーリフティングアジア&オセアニアオープン選手権大会」が開催される。
(取材・文・撮影/荒木美晴)