2020東京パラリンピック, NEWS, 車いすラグビー — 2021/8/29 日曜日 at 4:59:13

【東京2020】車いすラグビー、準決勝でイギリスに敗れる

by

〈東京パラリンピック〉車いすラグビー/準決勝/日本49―55イギリス(8月28日、国立代々木競技場)

まさかの番狂わせ。車いすラグビー予選グループAを全勝1位で通過した日本は、準決勝でグループBの2位イギリスと戦い、6点もの差をつけられて敗れ、決勝進出を逃した。

世界ランキングは日本が3位で、イギリスは4位。それ以上に過去の対戦から、誰もが日本が有利と考えていた。今大会は初日から混戦が予想されていたが、予選グループAでフランス、デンマーク、オーストラリアを下した日本の試合運びから、不安要素を見つけるほうが難しいというものだ。

日本の得点から始まった試合は第1ピリオドで1点差、第2ピリオドが終わった前半で2点差、そして第3ピリオド終了時には最大9点差まで相手にリードを許してしまっていた。後半、期待のホープ・橋本勝也(三春町役場)が自ら切り込み、池崎大輔(三菱商事)へのパスからのシュートなどで反撃を見せるが、チーム全員で掲げた金メダル獲得の夢は消えた。

油断があったのか。いやむしろ、「これまでの成績は関係ない」とミーティングでも気を引き締めるよう話していたという。だが、試合後、選手からは「13番(アーロン・フィップス)があそこまで走れると思わなかった」「激しいプレッシャーからミスを起こし、立て直せなかった」と、延期になった1年でイギリスが予想を上回る成長をしていたことに驚く声がいくつも上がった。

試合直後、どの選手の目も赤い。池崎は「イギリスが強かったということ」、キャプテン・池透暢(日興アセットマネジメント)は「(試合への)入りは悪くなかったが、イギリスが僕たち以上の準備をしてきたと感じた」としながらも、動揺を隠しきれない様子。

ケビン・オアーHCは、敗因のひとつに「イギリスのローポインターが素晴らしいトランジションを見せ、日本のハイポインターにプレッシャーを与え続けたこと」を挙げ、それにはイギリスのHC、ポール・ショーがもともとローポインターであることが考えられると冷静に分析したが、チームについて語ろうと、”Lovely Guys…“と言ったとたん、感極まって涙した。

金メダルは逃したが、まだメダルの可能性は残っている。29日、日本は銅メダルをかけて、宿敵・オーストラリアと戦う。

(取材・文/山本千尋)