2018平昌パラリンピック, パラアイスホッケー — 2018/3/11 日曜日 at 5:46:23

【平昌2018】未来につなごう、パラアイスホッケーの灯

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江陵のホッケーセンターで試合観戦に来た伊藤樹君(中央)

平昌パラリンピックのパラアイスホッケーが行われる江陵ホッケーセンターで、日本代表のプレーに熱い眼差しを送る少年がいる。小学6年の伊藤樹君、大阪のパラアイスホッケープレーヤーだ。開幕に合わせて韓国入りし、10日は日本対韓国の試合や、世界1位のカナダ対スウェーデンの試合などを観戦し、大きな声援を送った。

日本は韓国に1‐4で敗れたが、「完全アウェーのなかで1点取れた。嬉しかった」と日本チームの最後の粘りに心打たれた様子。またカナダ戦では、世界最高フォワードの呼び声高いビリー・ブリッジスのシュートの威力に刺激を受けた。「こんなん見たら、早く氷に乗りたくなる」と伊藤君。

幼稚園から始めたアイスホッケー。2014年9月に交通事故に遭い、車いす生活になったが、所属する臨海ジュニアアイスホッケークラブOBでパラアイスホッケー日本代表元アシスタントコーチの青木栄広さんと出会い、パラアイスホッケーに取り組むようになった。長野サンダーバーズの選手たちが関西で指導してくれたこともある。この時一緒に氷に乗った日本代表のエース・熊谷昌治選手や、今日の韓国戦で得点した司令塔の高橋和廣選手は、「すごくうまい」「格好いい」と、伊藤君の憧れだ。

また、日本代表キャプテンの須藤悟選手と同じ北海道ベアーズに所属する中学2年生、繁泉鯉句君もこの日、会場を訪れ、熱戦を見守った。繁泉君と伊藤君はこれまでに面識があり、日本代表選手とも交流がある。彼らのような若い選手たちが目を輝かせるパラリンピックはやはり特別な存在だ。会場に来られなくても、報道などを通して、世界レベルの技術や戦術を目にすれば、「面白そう」「楽しそう」と思えるはず。国内ではジュニア選手の数はとても少ないが、平昌をきっかけにその数が増えることを願わずにはいられない。

(取材・文/荒木美晴)