車椅子バスケットボール — 2017/5/5 金曜日 at 23:43:29

宮城MAXが逆転勝利! 前人未到の9連覇達成!

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徹底マークを受ける中、シュートを狙う宮城MAXの藤本怜央。大会MVPに輝いた=東京体育館(撮影/佐山篤)
徹底マークを受ける中、シュートを狙う宮城MAXの藤本怜央。大会MVPに輝いた=東京体育館(撮影/佐山篤)

東京体育館で行われている「内閣総理大臣杯第45回記念日本車椅子バスケットボール選手権大会」は5日、決勝が行われ、宮城MAXがNO EXCUSE(東京)に55対52で勝利した。宮城MAXは9連覇を達成。

<決勝>宮城MAX 55-52 NO EXCUSE

人々の記憶に残る一戦になったに違いない。8連覇中の王者・宮城MAX、そしてNO EXCUSEも、最後まで自分たちのプレーを貫いた。

第1ピリオド、5点ビハインドのNO EXCUSEは全員ディフェンスでボールを死守すると、香西宏昭(3.5)が2度の3ポイントシュートを鮮やかに決め、逆転。第2ピリオドも勢いを保ち、29-26と3点差をつけて前半を終えた。

後半に入っても、NO EXCUSEは得点力の高い宮城MAXの藤本怜央(4.5)を厳しくマーク。だが、経験豊富な藤本は落ち着いてフリースローのチャンスをもらい29-29の同点とすると、さらに相手のファウルを誘って再逆転に成功する。

宮城MAXの藤井郁美は13得点と活躍。女子選手で唯一、大会ベスト5にも選ばれた
宮城MAXの藤井郁美は13得点と活躍。女子選手で唯一、大会ベスト5にも選ばれた

NO EXCUSEは香西がシュートを決めて即座に同点に戻し、そこから3連続得点で再びリードを広げる。終盤は宮城MAXの藤本と藤井郁美(4.0)にフリースローを決められ追い上げられるが、41-39の2点差を保って最終ピリオドに持ち込んだ。

会場中が緊張と興奮に包まれた最後の10分間。ここで観客を引き込んだのは、王者・宮城MAXだった。豊島英(2.0)がファールをもらい、フリースローを決めて同点に追いつくと、藤本、藤井(郁)、豊島の連続ゴールなどで、最大6点差をつけた。

一方のNO EXCUSEも、森谷幸生(4.0)らのシュートで52-53の1点差まで追い上げる。だが、残り14秒となったところで、アグレッシブにボールを取りに行った森谷がファウルを誘われ、宮城MAXはこのチャンスで藤本が落ち着いて2本のフリースローを決めた。試合終了間際には森谷が3ポイントシュートを放つが外れ、ついに熱戦にピリオドが打たれた。

日本一を決める決勝戦にふさわしい、互いの「勝利への執念」を垣間見た一戦。今日一日で会場には5,051人が来場しており(昨年は2,771人)、激闘を見守った観客からは両チームに大きな拍手が送られた。

王者を追い込んだが、「残ったものは悔しさ」と語ったNO EXCUSEの香西(中央)
王者を追い込んだが、「残ったものは悔しさ」と語ったNO EXCUSEの香西(中央)

試合を振り返り、NO EXCUSEの香西は、チームワークの向上を感じながらも、「(準決勝で接戦だった)去年よりも勝てる可能性があったので本当に悔しい」と一言。「MAXを破るためには、個人としては40分戦い抜く体力、左手でもっとパスやドリブルを繰り出す技術を身につけなければ。ひとつ付け足すだけでは勝てない相手」と絞り出した。

とはいえ、NO EXCUSEの成長は王者に鮮烈な印象を残したようだ。宮城MAXの岩佐ヘッドコーチは「競ると予想はしていたが、あそこまで怜央が抑えられ、苦しめられるとは」と話し、汗をぬぐった。藤本も「強かった。二度とやりたくない」と話し、ライバルの成長を認める。また、キャプテンの豊島も「チームの底上げをしないと(来年の)10連覇はない。個々が自覚を持ってバスケと向き合っていかなければ」と語り、気を引き締めていた。

<3位決定戦>埼玉ライオンズ 56-44 ワールドBBC

高さを活かしたプレーでチームを勝利に貢献した埼玉ライオンズの篠田
高さを活かしたプレーでチームを勝利に貢献した埼玉ライオンズの篠田

決勝に先立ち行われた3位決定戦。「スタートにこだわってきた」とキャプテン・永田裕幸(2.0)が話したように、埼玉ライオンズが序盤から大館秀雄(4.0)や篠田匡世(3.5)らのシュートで連続得点に成功。第1ピリオドは相手をシュート2本とフリースローによる5点に抑えた。中盤以降も高さを活かしてインサイドを固めた埼玉ライオンズは相手のシュートチャンスを封じ、点差を広げる。後半はワールドBBCも相手のファウルを誘うプレーなどで追い上げを見せるが、流れを完全に引き寄せることはできなかった。

大会ベスト5に選ばれた埼玉ライオンズの原田翔平(1.0)は、「今年に入ってワールドBBCとは何度も対戦し、勝ってきた。今回も自分たちの力を出し切ることに集中できた」と振り返り、次へのステップとして「打倒・宮城」に向けた「自分たちのトラジションバスケ」のさらなる追求を誓った。

(取材・文/荒木美晴、撮影/佐山篤)