車椅子バスケットボールチームの日本一の座を決定する「内閣総理大臣杯 第39回日本車椅子バスケットボール選手権大会」が5月3日から3日間の日程で、東京体育館で開催された。3年連続で宮城MAXと千葉ホークスのカードとなった決勝戦は、第1ピリオドからセンター・藤本怜央(4.5)にボールを集めて確実に点を重ねた宮城MAXが、終始リードを守り優勝した。
選手権には、全国の81のクラブチームのなかから各ブロック予選を勝ち抜いた精鋭20チームが参加。頂点をめざし、白熱した試合が展開された。第1シードの宮城MAX、第2シードの千葉ホークスが順当に勝ち上がり、3回戦で強豪のパラ神奈川SC、清水M・S・Tをそれぞれ破った富山県WBCとNO EXCUSEの4チームが準決勝に進出した。
NO EXCUSEが存在感、惜しくも3位に
2007年に準優勝の実績があるNO EXCUSEは、元日本代表のベテラン・及川晋平(4.5)を中心に、ゴール下のパスワークなど高いチーム力を発揮し、会場の注目を集めた。
準決勝では、千葉ホークスと対戦。日本代表クラスのプレーヤーを多数そろえる強豪チームに苦しみつつも、要所で佐藤聡(1.0)や菅澤隆雄(4.5)がシュートを決めて逆転を演出。2点のリードで第3ピリオドを終えた。
だが、最終ピリオドに入ると、千葉ホークスが堅い守りでゲームメーク。ペースダウンさせられ追加点があげられず、ファールでフリースローを与えるなどして、57-60で敗れた。決勝進出こそ逃したが、最後まで粘りをみせた熱いプレーに、会場から大きな拍手が送られた。3位決定戦では、富山県WBC と対戦。82-52で圧勝した。
「自分たちのバスケ」で宮城MAXが優勝
3回戦でワールドB.B.Cに苦しみながらもトーナメントを勝ち上がった宮城MAXが、決勝戦ではチャンピオンチームの風格をライバルに見せつけた。
昨年の得点王・藤本怜央(4.5)にボールを集めるとともに、若干21歳ながら7月開催の世界選手権日本代表にも選出されている豊島英(2.0)が持ち前のスピードを活かした速攻を決めるなど、スキのない攻撃で試合の主導権を握った。
一方、3大会ぶりに王者を奪還したい千葉ホークスは、主将の鈴木明将(3.5)らが中へと切り込み積極的にゴールを狙った。また、得点源の土子大輔(4.0)らの活躍で追い上げを見せるが、果敢に攻めた結果、終盤にはファールで退場を余儀なくされるなど苦しい展開に。試合は76-46で宮城MAXが勝利し、見事な優勝を果たした。
21歳の若きガード・豊島がMVP!
試合後、大会MVPに選出された宮城MAXの豊島は、「みんなと同じ練習をしているだけなので、受賞はびっくりしました。ディフェンスを強化し、(初選出された)日本代表でもがんばりたい」と喜びを語った。大会ベスト5に選ばれた宮城MAXの藤井新悟(1.5)は、「正直言って、3連覇の重圧が大きかった。このプレッシャーを受け止めて、一瞬も気を抜かずに戦った」と話し、ようやく笑顔を見せた。また、惜しくも敗れた千葉ホークスの鈴木は、「MAXはすごい、の一言。スピードもあって、すべての面で太刀打ちできなかった」と相手を称えた。
個人賞の受賞は以下のとおり
◆大会MVP 豊島英(2.0)
◆大会得点王 藤本怜央(4.5)155得点
◇大会ベスト5
佐藤聡(1.0/NO EXCUSE)
森泰誠(2.0/富山WBC)
鈴木明将(3.5/千葉ホークス)
藤本怜央(4.5/宮城MAX)
藤井新悟(1.5/宮城MAX)
(取材・文/荒木美晴、撮影/吉村もと・伊藤真吾)