2020東京パラリンピック, NEWS, 射撃 — 2021/9/1 水曜日 at 20:38:58

【東京2020】水田光夏ら射撃日本勢は、ファイナル進出ならず

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お気に入りのヘアカラー、ネイルで気合いを入れて臨んだ水田光夏だったが……=陸上自衛隊朝霞訓練場(撮影/佐山篤)

〈東京パラリンピック〉射撃/混合 R5 10mエアライフル伏射SH2本選他(9月1日、陸上自衛隊朝霞訓練場)

水田光夏(白寿生科学研究所)は上肢障害があり、支持スタンドを使用するクラス、SH2の混合R5 10mエアライフル伏射本選に出場したが、実力を発揮できず628.6点の32位で敗退。また、下肢障害のSH1クラスの混合 R3 10mエアライフル伏射本選には、佐々木大輔(モルガン・スタンレー・グループ)と渡辺裕介(渡辺石灰)が挑んだが、佐々木は629.4点で28位、渡辺は623点で45位と、日本勢の決勝進出はならなかった。

決勝進出が期待されていた水田は今大会に向けて、髪はピンクとパープル、ネイルは好きなピンク、シルバー、黒の3色。大会キャラクター・ソメイティが射撃をするイラストもあしらって、気合いを入れて臨んでいた。だが、試射から感じた左へのズレを修正するのに時間がかかったこと。そして何より呼吸の管理がうまくいかなかった結果、「すごく恥ずかしい点数を出してしまった」と今日の結果を振り返った。

終盤、呼吸に苦しむ水田に「あと少し」と声をかける猪坂桂監督

競技中、そして終わってからも目に涙を浮かべていた水田。よほど悔しかったのかと思いきや、これはメンタルとは関係なく呼吸の苦しさから自然と出てくる涙のようで、そのせいで4シリーズめ(40発台)の中盤以降は記憶がないという。

原因不明の呼吸困難に対処するため、水田は昨年の全日本障害者ライフル射撃競技選手権大会から、競技中に酸素吸入を行なっていた。ところが、今回のパラリンピックでは「酸素を使うと有利になる」との見解から、その使用が許されなかったのだ。

残念ながら今大会は不本意な結果に終わったが、水田は今後、国際大会で酸素使用が認められるよう働きかけつつ、次のワールドカップやパリ大会を目指していくと力強く語った。

(取材・文/山本千尋、撮影/佐山篤)