卓球 — 2019/8/3 土曜日 at 2:20:32

垣田と友野がシングルスV!

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女子シングルス立位クラス8で優勝を果たした友野有理=港区スポーツセンター(撮影/植原義晴)

パラ卓球の国際大会「ITTF・PTTジャパンオープン2019東京大会」は2日、男女個人戦が行われ、男子シングルス立位クラス10の垣田斉明(八代市役所)が決勝でタイの選手に3-1で勝利し、優勝を果たした。また女子シングルス立位クラス8の友野有理(日体大)も頂点に立った。

友野は5歳から卓球に親しみ、小学5年で脳梗塞で倒れ、右半身に麻痺が残った。パラ卓球では2017年のアジアユースパラで銀メダルを獲得し、昨年のアジアパラでも3位に入るなど、伸び盛りの19歳だ。今大会の決勝では、リオパラリンピック銅メダルのJosephine Medina(フィリピン)を3-1で下し、「素直に嬉しかった」とほほ笑む。自身の強みはラリーだと言い、「ラリーに行くまでに点数を落としてしまう場面があるので、しっかりと修正したい」と語った。

女子車いすクラス5の71歳の別所キミヱ(ドマーニ卓球クラブ)は、決勝リーグ最終戦でライバルのジャン・ヨンア(韓国)に敗れたものの、銀メダルを獲得した。

熱戦を制し、ガッツポーズをする垣田(右)と時吉佑一コーチ

垣田の決勝は手に汗握る展開に。じわじわと追い上げる相手を突き放し、勝利を決めた瞬間、垣田の喜びが爆発した。個人戦の優勝は実に7年ぶりだといい、「職場や家族に支えられてここまで来たので、ちょっと涙が出てしまいました」と照れ笑いを浮かべながら振り返る。現在の世界ランクは24位ながら、今大会は格上の選手に勝利するなどし、結果を残した。「今後成績を伸ばせば、東京パラも見えてくる。さらに技術面、戦術面ともに向上させて、必ず東京パラに出たい」と力強く話した。

男子立位クラス9の岩渕幸洋(協和キリン)は準決勝で敗れ、3位だった。

女子立位クラス10の工藤恭子(日本赤十字社熊本県支部)は19年前のシドニーパラリンピックで銅メダルを獲得した息の長いアスリートで、今大会は銅メダルを獲得した。一時は現役引退を考えたというが、いまなおトップで戦う秘訣について尋ねると、「自分が卓球が好き、ということが一番」と工藤。「東京パラの開催が決まって、地元の人や仲間たちが『まだやれるよ』って背中を押してくれて。それに応えたいというのが大きなモチベーションになっている」と大切な人たちに思いをはせ、目を潤ませる。

リオ五輪・パラ両方出場のメリッサ・タッパーと試合する工藤

今大会は、日本で初めての国際大会。「日本の人たちにプレーを観ていただくことがすごく嬉しい」と、自国開催の意義を誰よりも噛みしめる。試合では、リオ大会でオリンピック・パラリンピックの両方にオーストラリア代表として出場したメリッサ・タッパーとも対戦した。0-3で敗れはしたが、「強打にきちんと対応できる練習が必要」と課題が明確になり、東京に向けてさらなる挑戦を誓っていた。

(取材・文/荒木美晴、撮影/植原義晴)