夏季競技, 車いすテニス — 2016/5/28 土曜日 at 20:39:24

【ワールドチームカップ】日本男子は準優勝、フランスが2年ぶり7度目V!

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6-4、6-2のストレートで3年ぶりに国枝に勝利し、フランスを優勝に導いたステファン・ウデ

6-4、6-2のストレートで3年ぶりに国枝に勝利し、フランスを優勝に導いたステファン・ウデ

車いすテニス世界国別選手権は28日、最終日を迎えた。センターコートで行われた男子ワールドグループ1部の決勝は、日本がフランスに0-2で敗れ準優勝。フランスは2年ぶり7度目の優勝を手にした。

フランスは、世界1位のステファン・ウデと3位のニコラス・ペイファーらトップランカーを擁する強豪で、今大会の優勝候補だ。対する日本は、シングルス3連勝と好調の眞田卓(フリー)、4月の右ひじ手術から復帰し徐々に調子を上げている国枝慎吾(ユニクロ)がシングルスに臨んだ。

眞田「全試合に出場したことはテニス人生においてよい経験に」

大会を振り返り、「来年はひとつ上の結果をみんなで残したい」と語った眞田

大会を振り返り、「来年はひとつ上の結果をみんなで残したい」と語った眞田

シングルス1番手の眞田はペイファーと対戦。序盤、眞田はダブルフォルトで2度のブレークを許したほか、ペイファーの変幻自在のバックハンドショットに押されてリターンが定まらず、第1セットを落としてしまう。続く第2セットは、第2ゲームを3本のリターンエースでブレークバックし、1-1に。だが、その後はペイファーに主導権を握られ、流れを変えられずにストレートで敗れた。

ペイファーは「今日はかたいテニスができた。チームのために戦ったのでモチベーションを保つことができた」。また、眞田は悔しさをにじませながら、「有明のセンターコートで格上の選手と試合をしたことはリオに向けて大きな経験になる」と話し、前を向いた。

国枝「”復帰戦”は終わり。リオまでの3か月間で取り戻していく」

第2試合は、国枝とウデのライバル対決に。国枝は第1セットでいきなりウデのサービスゲームをブレーク。さらに、第7ゲームを2度のジュースから取り切ってゲームカウント4-3とリードした。だが、その後3ゲームを連続で失い、第1セットを4-6で落とすと、第2セットも第6、8ゲームをウデにブレークされ、勝利はならなかった。

手術からの復帰戦ながら、日本のエースとしてチームをけん引した国枝

手術からの復帰戦ながら、日本のエースとしてチームをけん引した国枝

試合を通して、ウデのショットに反応できない場面も見られた国枝は、「相手をベースラインの中に入らせてしまった。ウデは素晴らしいテニスをしたが、僕も相手の良さを引き出してしまった」と反省の弁。また、リターンやサーブといったショットのコントロールの不安定さが、持ち味であるチェアワークを活かせなかった理由と分析した。

とはいえ、手探り状態で始まった手術後初の実戦で徐々に調子を上げてきた。決勝では要所でウィナーを決めるなどし、「準決勝と比べるとずいぶん僕らしいテニスができたと思う」。また「ウデに負けて、悔しさが込み上げてきた。“復帰戦”はこれで終わり。リオまでの3か月間で何とかなるという手ごたえも感じた」と話し、まずは7月2日から始まるウデのホームで行われる全仏オープンでのリベンジに意欲を燃やした。

最高のライバルとして、国枝とウデはこれからも車いすテニス界を盛り上げていく

最高のライバルとして、国枝とウデはこれからも車いすテニス界を盛り上げていく

ロンドンパラリンピックの決勝で国枝と戦ったウデ。これまで幾度と対戦しているが、近年では2013年の全仏オープンで優勝して以降、国枝に10連敗中だった。実に今回が3年ぶりの白星となり、「シンゴはベストコンディションではなかったが、彼とセンターコートで試合ができてよかった」と笑顔を見せた。

また、試合後のオンコートインタビューで、チームメートのマイケル・ジェレミアスが引退することを観客に伝えたウデ。ジェレミアスと組んだダブルスは“世界最強”とも評価されており、直前のジャパンオープンでも優勝するなど衰えない強さを見せつけていた。パラリンピックでは北京大会で金メダルを獲得しており、「彼にこの勝利を捧げたい」と盟友の活躍と決断を称えた。

テニスの聖地・有明コロシアムで車いすテニスを行う意義

最終日のこの日、会場には約3,769人が訪れ、センターコートでは多くの観客が世界最高レベルの車いすテニスに酔いしれた。ウデは「試合では日本のポイントだけでなく、いいプレーには公平に拍手してくれて、それがすごく良かった」と感想を述べ、同じ会場を使って行われる2020年東京パラリンピックに向けても「また東京に来たい。応援よろしくお願いします」とコメントし、観戦を呼び掛けた。

有明コロシアムのセンターコートで行われた男子決勝に多くの観客が駆けつけた

有明コロシアムのセンターコートで行われた男子決勝に多くの観客が駆けつけた

常々、東京パラリンピックは車いすテニスで有明を満席にしたいと話している国枝も、「今日はたくさんの観客の前でプレーできて幸せでした」と充実の表情。「決勝では良いショットを決めたらダイレクトに反応があって、3回ほど武者震いをしました。今日の試合を見て、あのコートに立ちたい、と思ったプレーヤーも多いはず。そのバトンをつなげていけば、車いすテニスも発展していくのでは」と語り、この大会開催をきっかけに競技普及と認知度向上が進むことに期待を寄せた。

(取材・文/荒木美晴、撮影/吉村もと)