アルペンスキー, 冬季競技 — 2015/3/25 水曜日 at 18:18:44

アルペンスキーのジャパンパラが閉幕、ピョンチャンに向けた新体制のチームづくりにも注目

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3日目スーパーコンビで表彰台に上がった男子座位の狩野(中央)、森井(左)、鈴木の三選手

3月21日から長野県・白馬村の白馬八方尾根スキー場で開かれていた「IPC公認2015ジャパンパラアルペンスキー競技大会」が24日、閉幕した。シーズンの締めくくりとなる今大会、初日と2日目は春の陽気に恵まれたが、3日目と4日目は一転して朝から気温が下がって雪が舞った。バーン状況が刻々と変わるなか、選手らは果敢な滑りを見せた。

阿部が二冠、立位の強化に期待

最終レースの表彰台で言葉を交わす阿部(右)と三澤

男子立位は、三澤拓が得意の回転で優勝。スーパーコンビは小池岳太が制した。大回転とスーパー大回転は43歳のベテラン阿部敏弘が制して2冠達成と、ともにソチパラリンピックに出場した3選手がしのぎを削った。阿部はソチ後にナショナルチームを離れており、久しぶりのレースで結果を出したことに「びっくりした」。「(自分のレースが三澤と小池の刺激になって)彼らの滑りが変わっていけばいい」と、後輩たちに発破をかけた。

今シーズンから日本障害者スキー連盟の体制が変わり、全日本スキー連盟でオリンピック選手らの育成経験があるコーチを招いて、その経験を活かした指導が始まった。とくにスタンディング(立位)の強化に期待が寄せられており、三澤は「今は自分の感覚だけじゃなく、いろんなアドバイスをいろんな人から聞けるようになった。引き出しが増えているし、細かい部分が詰められるようになった」と変化を実感。「これを蓄積して3年後につなげたい」と話し、ピョンチャンまでの道のりを描く。

ソチから1年、村岡桃佳がみせた成長

女子座位では、村岡桃佳に注目が集まった。スーパー大回転は、一時は旗門が見えづらいほどの霧に包まれるなかでのスタートとなったが完走。4日間のレースを終え、ほっとした表情を見せた。

今シーズンは世界選手権で結果を残すなど、成長を見せている村岡

17歳で初出場したソチパラリンピックでは、3種目にエントリーするも大回転の5位が最高。難関と言われるコースを前に、急斜面やスピードに対する恐怖心が最後まで拭えなかった。世界最高峰の舞台での表彰式を見て「自分も絶対この場に立ってやる」と心に誓った。今シーズンは「限界を超えたい」と、技術面を強化。「思いきった滑りができるように」なってから結果が出始め、3月初旬ににカナダで開催された世界選手権では滑降で銀メダル、大回転で銅メダルを獲得するまで調子を上げた。

この春から大学生となり、体育会のスキー部に所属する。競技に集中できる環境に身を置き、体幹の強化などフィジカルトレーニングにも力を入れるつもりだ。「ワールドカップと世界選手権でひとつでも多くのメダルを獲ること」を当面の目標に据え、新たなシーズンに挑む。

世界トップの三選手が結果を出した男子座位

男子座位は、狩野亮がスーパーコンビとスーパー大回転で優勝。鈴木猛史が大回転を、森井大輝が回転をそれぞれ制した。シーズン最後の表彰台にそろって上がり、笑顔を見せた。

ワールドカップ総合優勝の鈴木。来シーズンのさらなる飛躍を誓う

ソチでは回転で金メダルを獲得した鈴木。「回転のスペシャリスト」の滑りは健在で、今シーズンのIPCアルペンスキーワールドカップでは総合優勝と回転の種目別優勝に輝き、世界選手権でも同種目を制している。また、狩野もワールドカップ高速系種目で優勝、森井も世界選手権で滑降・大回転・回転の3種目で3位に入るなど、いずれも好調をキープしている。とはいえ、世界のライバルたちも差を詰めてきており、ますますハイレベルな戦いが予想される。3年後のパラリンピックを見据え、来シーズンはチームジャパンとしても課題の見直しと強化に取り組む。

【外部リンク⇒】ソチ金・鈴木猛史の飽くなき挑戦 「全種目で金」を目指すが故の危機感

ID(知的障がい者)クラスは、男子は木村嘉秀、女子は松本馨代が4種目とも優勝した。

■狩野亮(マルハン)のコメント

「(最終日の)スーパー大回転では、序盤に大きなミスをしてしまったけれど、逆に気持ちを切り替えられて集中力が高まった。(滑りにくく難しい雪だったけれど)緩斜面の入口のスピードもうまくいって優勝で締めくくることができた。今シーズンを振り返ると、いいことも悪いこともあり、とにかく課題が多く見つかった。そういう意味でいい一年だった。来シーズンに向けて、フィジカル面を強化し、用具も改善していく」

■森井大輝(トヨタ自動車)のコメント

「ソチの後、障がい者アスリートの価値を高めたいと思ったことがきっかけで、よりサポート体制の整った環境を求めて転職した。また、チェアスキーのトップ選手だった大日方さんが強化と普及の責任者になったことでチーム体制も整いつつある。足の部分を覆い、空気抵抗を減らすカウルやサスペンションの開発など、やらなければいけないことは見えているので、ピョンチャンに向けて徹底的に追求していきたい」

(取材/荒木美晴、瀬長あすか、文/荒木美晴)