現地時間23日に第3日目を迎えたアイススレッジホッケーの最終予選。ともに2敗で後がない日本とイギリスの対戦は、日本が試合を通してコンスタントに得点を重ね、8-2で勝利した。対戦成績を1勝2敗とした日本は、ソチパラリンピック出場権獲得に望みをつないだ。
日本 8-2 イギリス
2敗の日本がソチパラリンピックの出場権を獲得するためには、まずはこの試合で勝利することが最低条件。選手に疲れと焦りが見えるが、これまでの2試合合わせてシュート数がわずか5本という少なさを大きな敗因のひとつとし、試合前は「まずは、シュートを打って自分たちのリズムを作ろう」と声をかけあった。
その言葉の通り、第1ピリオドから積極的にシュートを放ち、ゴール前に詰め続けた日本。2分6秒に安中幹雄(FW)が先制点を挙げると、パワープレーの場面では細かくパスをつないで高橋和廣(FW)が追加点。さらに残り52秒で、堀江航(FW)が追いすがる相手ディフェンスをかわしながらシュート。これが鮮やかに決まり、公式戦初得点でチームに貢献した。
第2ピリオドは、当たりを強くして反撃に出るイギリス。日本が先に得点するも、ディフェンス陣の一瞬のコミュニケーションミスを突かれて2点を献上してしまう。だが、最終ピリオドには修正し、最終的に8対2と突き放した。大差で勝たなければならない局面での失点は悔やまれるが、まずは今大会初勝利を手にしたことで、チームに安堵の表情が広がった。
競技歴1年ながら急成長を遂げている堀江は、「ファーストセットで闘うことは自分の成長のチャンス。同じラインのカズ(高橋)や大祐(上原)がチャンスを作ってくれるから、しっかり決めないと。(実力が拮抗している)次のドイツ戦では今日のように簡単にシュートを打てないと思うので、集中力を持って臨みたい」と力強く話した。また、須藤は「2敗していたが、気持ちの切り替えはできた。反省点もあるが、ファースト、セカンドの両セットで得点できたこと、それからずっとサイドパスからの得点ばかりだったが、最後には縦パスでシュートにつなげた場面もあり、そこは良かったと思う」と試合を振り返った。
中北浩仁監督は、「自分たちのコミュニケーション不足で失点につながった」と第2ピリオドの連携ミスを反省し、25日のドイツ戦に向けて気を引き締めた。
イタリア4-0ドイツ
第1試合に行われたイタリア(2勝)とドイツ(2敗)のカード。第1ピリオド、出場権獲得に向けて後がないドイツが、序盤から積極的に攻め込み、シュートを放つ。対するイタリアのディフェンスも必死にゴールを守り、一進一退の攻防が続いた。
試合が動いたのは第2ピリオド。10分16秒、イタリアが左サイドから鋭いパスをゴール前に送り、それにFlorian Planker(FW #5)が合せて先制点を挙げると、残り5秒にもまたもやPlankerが相手ゴーリーをかわしてシュートを決めた。
何としても追いつきたいドイツは、最終ピリオドの立ち上がりで攻め上がるも、逆にペナルティを取られて、イタリアにチャンスを与えてしまう。イタリアはこのパワープレーの場面できっちりと3点目を入れ、試合終了間近にもドイツの守りが崩れたところでダメ押しの4点目を奪取。観客席からの「イターリア!」の大声援をバックに、勝利をおさめた。
韓国4-2スウェーデン
2勝同士の韓国対スウェーデンの試合は、序盤は選手層の厚い韓国が順調にゴールを決めて3点を奪取。第2ピリオドで1点を返されるも、2点をリードして最終ピリオドに突入した。
一方のスウェーデンは第3ピリオドに追加点を挙げ、追い上げを見せる。その後は韓国のペナルティで同点に追いつく絶好のチャンスを得て攻め上がる。しかし、一瞬の隙を突かれてパックを自陣に返され、ゴールキーパーが味方にパスをしようとパックから手を離したところを、背後から猛スピードで追いかけてきた韓国のSeung-Hwan Jung(FW #14)に奪われてゴールにねじ込まれた。相手よりひとり多い状態での失点に、肩を落とした。
この結果、イタリアと韓国が3勝し、出場権獲得に大きく前進した。
■23日の試合結果
第1試合
イタリア 0-2-2=4(3勝)
ドイツ 0-0-0=0(3敗)
第2試合
日本 3-3-2=8(1勝2敗)
イギリス 0-2-0=2(3敗)
(日本得点 ➀G:#27安中 A:#16柴 ➁G:#55高橋(PP)A:#32上原、#13吉川 ➂G:#6堀江 A:#24須藤 ➃G:#32上原 A:#6堀江 ➄G:#6堀江 A:#16柴、#32上原 ➅G:#55高橋 A:#32上原 ➆G:#25三澤(PP)A:#6堀江 ➇G:#13吉川 A:#24須藤、A#96熊谷)
第3試合
韓国 3-0-1=4(3勝)
スウェーデン 0-1-1=2(2勝1敗)
(取材・文/荒木美晴、撮影/吉村もと)