車いすカーリング — 2023/5/24 水曜日 at 11:51:23

チーム長野が大逆転勝利! 2大会ぶりの日本一

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チーム長野のサードでスキップの和智のデリバリー=軽井沢アイスパーク(撮影/植原義晴)

「第19回ナブテスコ日本車いすカーリング選手権大会」が5月19日から3日間にわたり、長野県の軽井沢アイスパークで開催された。本州と北海道ブロックの選考会をそれぞれ勝ち抜いた各3チームの計6チームがエントリー。そのうち、札幌アイズアップがメンバーの体調不良により出場をキャンセルしたため、5チームで頂点を争った。

氷の読みと高い投球技術が求められる車いすカーリング

車いすカーリングは1試合8エンド制の男女混合競技。車いすに乗り静止した状態で、手またはデリバリースティックを使って投球する。ブラシで氷をこするスウィーピングは禁止されており、刻々と変化する氷の状況を読み取るアイスリーディングと、狙った場所にストーンを置くコントロール力が勝利のカギとなる。

そのなかで高いチーム力を発揮したのが、予選リーグ1位通過のチーム長野と、準決勝でease埼玉を破ったKiT CURLING CLUBだ。両チームによる決勝戦は戦略の読み合いや駆け引きがあり、終盤まで見ごたえある戦いになった。

序盤は互いにヒットアンドステイ(相手のストーンに当て、投げたストーンをその場に止めるショット)を狙っていく展開に。均衡を破ったのはKiT CURLING CLUB。スキップ・坂田谷隆の氷の読みが冴え、第3・4エンドは連続スチールに成功した。

一方、3点ビハインドで後半を迎えたチーム長野は、「後半は(氷が)重くなる」と冷静に氷の変化を見極め、前半まで苦しんでいたドローショットを次々と決めていく。リードの大﨑浩明が狙い通りにガードを置いて形をつくると、セカンドの斎藤あや子、サードでスキップの和智浩がその裏にカムアラウンド(ガードストーンの後ろへまわりこんで止めるドローショット)で石をためていく。そして、フォース・飯島秀一が正確なショットで優位な状況をつくりだし、複数得点からの逆転につなげた。

第7エンドにはKiT CURLING CLUBに再逆転を許すが、最終第8エンドは持ち時間の残りが少なくなるなか、確実にドローショットを決め5得点のビッグエンドに。10-7でチーム長野が勝利し、2大会ぶりの優勝を果たした。

チーム長野は世界選手権Bの日本代表に

表彰式で笑顔を見せるチーム長野のメンバー。世界選手権Bでの活躍が期待される

チーム長野のスキップ・和智は、「ひやひやしました」と苦笑いを浮かべつつ、「前半はアイスが滑ること、後半は重くなることが分かっていたので、立て直しができた」と振り返った。

今大会の優勝によりチーム長野のメンバーは日本車いすカーリング協会の強化A指定選手に選考され、日本代表として11月にフィンランドで開催される世界選手権Bに出場することになる。この大会で3位以上に入れば、世界選手権Aの出場権を得ることができる。和智は「世界選手権で勝つために、練習あるのみ。もっと切磋琢磨して上を目指していきたい」と、言葉に力を込めた。

(取材・文/荒木美晴、撮影/植原義晴)