2018平昌パラリンピック, パラアイスホッケー — 2018/3/16 金曜日 at 23:56:49

【平昌2018】日本は全敗、パラ8位。北京への課題は山積

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試合を終え、観客に向かってお辞儀をする日本チーム=江陵ホッケーセンター(写真:フォトサービス・ワン/植原義晴)

パラアイスホッケーの7-8決定戦が16日、江陵ホッケーセンターで行われ、日本はスウェーデンに1-5で敗れた。

第1ピリオド開始2分、先制点を許した日本。第2ピリオド、上原大祐(NEC)がパックを持って飛び出しゴール前へ。並走していた高橋和廣(西東京市役所)がパスを受け、右手のバックハンドでシュートをねじ込んだ。

激しい攻防のなか、パックを死守する高橋

同点に追いついた日本。しかし、勢いが出てきたところで、日本が反則。スウェーデンにパワープレーのチャンスで決められ1‐2とされた。残り3分を切ったところで、相手のペナルティで数的有利のチャンスが到来。だが、厚い壁を作られ、パックを持ちすぎたところでパックを奪われシュートを打たれた。一度はGK福島忍(ニック)が身体で止めるが、そのリバウンドを叩かれ追加点を許した。最終ピリオドも、スウェーデンのパワープレーで決められ、さらには試合終了43秒前にもダメ押しの追加点を入れられた。

スウェーデンには昨年10月の平昌パラ最終予選、またパラリンピック直前の練習試合でも勝利していた。だが、本番で相手がしっかりと対策を講じてきたのに対し、日本はミスを連発。アドバンテージを活かせなった。

1次リーグからこの決定戦まで、5戦して5敗。トータル得点はわずかに「3」で、失点は「28」だった。シュート数も圧倒的に少なく、強化してきた守備も後半には精度が落ちた。今大会はチームの平均年齢の高さがフューチャーされたが、ソチ大会出場を逃してから上位チームとマッチの数がぐっと減り、上のレベルの試合勘を養えなかったことも大きい。「これが今のチームの実力」と、選手も力なく話すしかなかった。

※後日、関連記事を掲載予定です。

以下、選手・スタッフのコメント

中北浩仁監督
「観ていただいた通り。これが実力。メンタルも弱く、体力的にも届かず、年齢も高く。勝たせてやれなかったのは、すべて私の責任。次につなげることが最大のミッション。今日から2022年までの4年間が始まった。協会としてすぐに強いチーム作りを始めるが、監督としてパラリンピックの場に立つことはもうない」

低迷する時期にキャプテンに就任し、堅守でチームを支えてきた須藤

須藤悟(DF)キャプテン
「何とか順位をひとつあげておきたかったけれど、うちがやりたいことを向こうにやられてしまった。これからも戦うためには、若いフレッシュな選手を連れてこないといけない。この競技は人を惹きつける力があると思う。協会も含め、僕たちがどうやって人材を育成するか、帰ってから話し合い、日本チームの再建、ビルドアップをしていかないといけない」

吉川守(FW)
「悔しいですね。(自身のパラリンピック出場の)5大会目が終わってしまった。日本という存在を残せる大会にしたかった」

高橋和廣(FW)
「タフな試合が続き、チェコ戦が一番精神的につらかった。これが実力。ちゃんと“ホッケー”をやっていかないと世界に置いていかれる一方。パラは最高の環境なのに、チームに純粋に楽しめない選手がかなりいた。アメリカやカナダもしっかり試合する中で楽しんでいる。そういうところも学ばなくてはいけない。今後はジュニアの育成にも力を入れたい」

5試合すべてでスタメンマスクを被った61歳・福島

福島忍(GK)
「(61歳と年齢がフューチャーされるが)パラリンピックはホッケーをやる人の頂点。それを目指してやってきた。これを機会に若い方に競技を知ってもらい、普及につながればいい。(セカンドGKの望月には)この結果を自分なりに実感してもらうしかない。頂点であるパラリンピックには素晴らしい選手がたくさんいる。見習い、やる気を出して競技を続けてほしい」

熊谷昌治(FW)
「(シュートがなかなか決まらず)厳しい世界だった。(初出場で)もちろんこの舞台に立てたことは素晴らしいことだが、結果が残せなかった悔しい思いの方が強い。少しでも良い姿を家族や応援してくださっているみなさんに見せたかったので本当に残念」

三澤英司(DF)
「厳しい結果になった。せめて1勝はしたかった。これが現実だと受け止めている。スウェーデン戦では個々の力はさほど離れていないが、チーム力の差を感じた。(長野大会からパラに出場し)後輩たちに伝えたいのは、日本代表の誇りを忘れないこと。リンクの上だけではなくて、日常生活でも意識して生活することが大事だと思う。(最終予選でケガをして復帰までサポートしてくれた)地元・旭川のみなさんにも1勝して恩返ししたかった。毎試合、リンクに立てることに感謝してやっていた」

昨年5月に代表復帰し、ディフェンダーとしてゴール前を守った中村

中村稔幸(DF)
「勝ちたいという気持ちが出すぎて、練習通りにいかなかったのかと思う。(一度代表引退したが復帰し)アイスタイムが少なかったのは残念。後輩たちには、チームがひとつになってこういう大きな舞台に立てることが次の目標になると思う。若い人が精力的に率先して練習を重ね、また大きな舞台に立ってほしい」

信田憲司コーチ
「とくに失点をゼロで抑えて後半で勝負しようというホッケーができず、リズムを崩してこういう結果になった。選手は状況を打破しようと努力していたけれど、食事の時間に遅れるなど、チームとしての行動、アスリートとしての意識や習慣などを身に付ける必要がある選手がいると感じる」

牧伸哉トレーナー
「選手はベテランが多くて疲労も蓄積しやすい。とくに須藤選手や吉川選手は滞氷時間も長くて本当に苦しかったと思うが、パラアイスホッケーの未来のために、という思いがあったと思う。自分も貴重な経験をさせてもらい、感謝の気持ちでいっぱい。これからもできる限りサポートしていきたい」

(取材・文:荒木美晴、写真:フォトサービス・ワン/植原義晴)