【アイススレッジホッケー】初出場のロシアが準決勝進出! 前回金メダルのアメリカに2-1で勝利

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王者・アメリカを撃破し、観客席に向かって挨拶するロシアチーム=シャイバ・アリーナ(撮影/吉村もと)

オリンピックパークのシャイバ・アリーナで行われているアイススレッジホッケー。11日は総当たりの予選リーグの最終戦が行われた。その結果、グループAは1位カナダ、2位ノルウェー、グループBは1位ロシア、2位アメリカとなり、この4チームが準決勝に進む。前回バンクーバー大会で銀メダルを獲得した日本は出場していない。

アメリカ 1-2 ロシア (グループB)

立ち見が出るほどの超満員となった注目のカードは、観客の大声援を受けて地元ロシアが躍動した。前回バンクーバー大会優勝チーム・アメリカの攻撃の起点を堅守でことごとくつぶして、徐々に相手を追い込む。アメリカはたまらず、続けてペナルティを犯し、ロシアは5人対3人のパワープレーのチャンスできっちりと先制点を挙げた。第2ピリオドに入ると、カウンター攻撃からKonstantin Shikhov(FW)が追加点。ロシアが主導権を握った。アメリカは最終ピリオドにPage Adam(FW)の得点で1点差に迫るが追いつくことができず、ロシアが2-1で勝利した。

Taylor Chace(左)とパックを取り合うKonstantin Shikhov

2連覇を狙うアメリカだが、この試合は2点を許したゴールキーパーSteve Cashをはじめ、全体的に精細を欠いた印象だ。だが今日は、勢いのあるロシアがそうさせたということだろう。まだ荒削りな部分はあるが、当たり負けしない強いフィジカル、落ち着いたパス回し、守備から攻撃に転じる一瞬の飛び出し、ルーズパックへの執着心は魅力的だ。王者を相手に見せた今日のプレーは、アイスホッケーが国技のロシア国民を喜ばせた。

興味深いのが、ロシアはパラリンピック初出場の国であり、その代表が本格的に活動しはじめたのは、前回バンクーバー大会以降という事実である。準決勝では、過去5大会すべてでメダルを手にしている強豪ノルウェーと対戦する。経験に基づく堅実な攻撃が持ち味で、今日のアメリカとはタイプが違う。ロシアはこの大きな山を越えられるか、その戦いぶりに注目したい。

韓国 1-2 イタリア(グループB)

第1ピリオドにイタリアが先制し、0-1で迎えた最終ピリオド。韓国のエースJung Seung Hwan(FW)の角度のあるシュートで同点に追いつき、反撃ムードを作った。だがイタリアは動じず、その失点の直後にAndrea Chiarotti(FW)がリンク中央付近でパックを持つと、針に糸を通すようなピンポイントの縦パスを出し、それに反応したFlorian Planker(FW)が鮮やかなシュートを決めた。この試合に勝てば決勝ラウンド進出の可能性が残っていた韓国は、終盤にゴールキーパーをあげて6人攻撃を仕掛けるが、得点に至らなかった。

ノルウェー 2-0 スウェーデン(グループA)

序盤から拮抗した展開になったこの試合。まず主導権を握ったのはノルウェーだった。第2ピリオドの5分40秒、しぶとく相手陣地でパックをまわして攻撃の形を作り、ゴール裏から壁を使ったパスをMagnus Bogle(FW)が決めた。最終ピリオドには、エースのRolf Einar Pedersen (DF)が相手を引き付け、ゴール前にパス。それを左サイドで待っていたAudun Bakke(FW)がゴール右上に叩きこみし、試合を決めた。

カナダ 1-0 チェコ(グループA)

すでに2勝を挙げ、予選リーグ突破を決めているカナダ。チェコのゴールキーパーMichal Vapenkaとディフェンス陣の堅い守りの前に、我慢の時間帯が続いた。だが、第2ピリオドにゴール裏を巧みに使ったパス回しで得点すると、チェコの必死の反撃もかわし、その1点を守り切った。

会場が割れんばかりの大声援を送ったロシアの観客たち

■11日の試合結果

<グループA>
ノルウェー 0-1-1=2(2勝1敗)
スウェーデン 0-0-0=0(3敗)

カナダ 0-1-0=1(3勝)
チェコ 0-0-0=0(1勝2敗)

1位カナダ、2位ノルウェー、3位チェコ、4位スウェーデン

<グループB>
韓国 0-0-1=1 (1勝2敗)
イタリア 1-0-1=2 (1勝2敗)

アメリカ 0-0-1=1(2勝1敗)
ロシア 1-1-0=2 (2勝1敗)

1位ロシア、2位アメリカ、3位イタリア、4位韓国

(取材・文/荒木美晴、撮影/吉村もと)