【バンクーバーパラリンピック】<予選リーグ>日本、チェコに2-1で勝利!!

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決勝点を決め、喜びを爆発させる石田(左)と遠藤/撮影:吉村もと

現地時間の午後8時半から、日本×チェコの試合が行われた。悲願のメダル獲得に向けて、決勝リーグに進出するためには絶対に負けられない一戦だけに、序盤からゴールを狙う激しい攻防が繰り広げられた。試合は、第2ピリオドで先制した日本が最終ピリオドにも追加点をあげ、2-1で勝利。貴重な勝ち点を手にした。

いよいよ、決戦のときがやってきた。ゴール前で円陣を組み、いつものように大きな掛け声で気合を入れる日本。第1ピリオド、早いタイミングで先制点がほしい日本は、パックを次々に中に放り込んでシュートチャンスを作りにかかった。一度で決めるのではなく、相手のミスを誘い、ゴール前に2枚、3枚と重ねる形。これは、バンクーバーに向けてずっと練習してきたことだ。

その努力が実ったのが、第2ピリオドの開始早々の11秒。須藤悟(DF)、高橋和廣(FW)とつないだパスを、スピードを活かしてゴール前に飛び込んできた遠藤隆行(DF)が合わせてシュート。パックは身長190㎝を越える相手ゴールキーパー・Michal VAPENKAの背後に転がり、いったんはノーゴールがコールされたが、協議の結果、得点が認められた。

のどから手が出るほど欲しかった先制点をもぎとったことで、勢いづく日本チーム。それ以降は、ほとんどの時間帯を日本がパックを支配してゲームメークした。結局、このピリオド間に追加点は挙げられなかったが、最終ピリオドにつながる展開に、ベンチは盛り上がった。

ところが、何が起こるのかわからないのがパラリンピック。最終ピリオドの3分6秒には、チェコが放ったシュートを日本のゴールキーパー・永瀬充が胸の位置で両手キャッチするも、パックがグローブからぽろりと前にこぼれ落ち、ゴール前に詰めていたZdenek HABL(FW)に押し込まれた。この同点段をきっかけに、流れは除々にチェコに傾いた。

しかし、その不穏な空気は、一本の鮮やかなシュートで吹き飛んだ。魅せたのは、ベテランの石田真彦(DF)。上原大祐(FW)からのパスを受けた石田は、自陣エリアから見事なハンドリングでパックをキープしながら相手ゴール攻め込み、ゴールキーパーを左右に揺さぶってシュートを決めた。この技ありの一撃で、チームはよみがえり、試合終了間近のチェコの捨て身の攻撃も全員ディフェンスでクリア。試合終了のブザーが鳴り、氷上には日本選手の笑顔がはじけた。

試合後、石田は自身が挙げた決勝点シーンを振り返り、「チェコのゴールキーパーは(身長があるので)上に強いというデータがあったので、スピードで抜くか、巻き込むかだと考えていました。それにしっかり対応してゴールできました」と、笑顔を見せた。また、家族ら大応援団が日本から駆けつけており、それに対しては「観客席の応援が大きかったので、それに負けないように声を出しました。大きな声援については本当に感謝です」と語った。

日本は明日も大一番が待っている。14日午後8時半から(現地時間)の韓国戦。決勝リーグ進出をかけて対戦する。

◆第四試合スコア
日 本 0-1-1=2(①G遠藤、A須藤・高橋/②G石田、A上原)

チェコ 0-0-1=1

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1点目の遠藤のゴール

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試合終了の瞬間、中北監督もガッツポーズ

(取材・文/荒木美晴、撮影/吉村もと)