【バンクーバーパラリンピック】<予選リーグ>韓国の猛攻を防ぎ、チェコがパラ初勝利 ほか

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カナダ対ノルウェー戦、試合開始31秒でカナダのBilly BRIDES(FW、写真中央)が先制点を決めた/撮影:吉村もと

現地時間16日、アイススレッジホッケーは予選リーグの最後日を迎えた。第一試合は、グループAのチェコ対韓国のカード。試合は、序盤から主導権を握ったチェコが4-2で韓国を下し、パラリンピック初勝利を挙げた。

第一試合 チェコ 4-2 韓国(グループA)

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第一試合のチェコ対韓国は、チェコが勝利

中盤までは、チェコがリンクを広く使った多彩な攻撃で試合を優勢に運び、4点を奪取。劣勢に立たされた韓国は、第2ピリオド終盤に、JANG Dong-Shin(DF)がチェコ選手のボディチェックを受けて左腕を負傷。タンカで運ばれる不運に見舞われた。

しかし、集中力を切らさなかった韓国は第3ピリオドに猛攻をしかけ、ロングシュートで1点を返した。さらに試合終了9秒前には、ゴール裏からパスをつないで意地の2点目を入れ、一矢を報いた。韓国の逆転勝利はならなかったが、最後まで見せた両チームのゴールへの意欲に対し、会場からは大きな拍手が送られた。

◆第一試合スコア
チェコ 2-2-0=4

韓 国 0-0-2=2

第二試合 スウェーデン 1ー0 イタリア(グループB)

両国の国旗を持った小学生ら、大勢の子どもたちが会場を訪れ大声援を送った第二試合。第2ピリオドに先制点を挙げたスウェーデンが、イタリアをシャットアウト。1-0の完封勝利を飾った。

スウェーデンは、初戦のノルウェー戦で、けが人が続出。そのうちのひとりは、攻守の要であるJens KASK(FW)で、2戦目以降の試合に出場できないというアクシデントに見舞われている。一方のイタリアは、前回トリノ大会のときよりも、個人技、チームワークともに格段に上達している印象だ。だが、この試合では攻守がかみ合わず、相手にパスカットされるシーンもあり、勢いに乗り切れなかった。

試合は、両チームとも無得点の時間帯が長く続き、苦しい展開に。だが、その重たい空気は、第2ピリオドの残り4分を切ったときに大きく変わった。イタリア選手2人が立て続けにペナルティを犯し、スウェーデンが2人多いパワープレーの絶対的チャンスが到来。そして12分57秒、Aron ANDERSON(FW)からのパスを、2戦目以降、KASKからキャプテンマークを引き継いでいるベテランのMarcus HOLM(FW)が合わせ、ゴール横からねじ込む技ありの一発を決めた。

最終ピリオドの試合終了間近には、イタリアはゴールキーパーをベンチに上げて、6人攻撃。しかし、スウェーデンはゴールを死守し、そのまま試合は終了した。試合後、スウェーデンのEDBOM監督は、「KASKは指を怪我して出場できないし、ほかのメンバーも病院に行ったりしている。そのなかで今日はいい試合をしたと思う。予選ではカナダには10対1で負けたりしたけど、うちのチームのことを誇りに思うよ」と話した。

◆第二試合スコア
スウェーデン 0-1-0=1

イタリア 0-0-0=0

第三試合 日本 0-6 アメリカ(グループA)

第三試合は日本対アメリカの試合が行われた。両チームとも、昨日までに準決勝進出を決めており、どちらが予選を1位で通過するかに注目が集まった。先に先制点を入れて攻撃の主導権を握りたい日本。だが、アメリカの早いタイミングのボディチェックを前になかなか自分たちの形が作れず、各ピリオドに2点ずつ献上。6失点の完封負けを喫し、予選は2位で終えた。

◆第三試合スコア
日本 0-0-0=0

アメリカ 2-2-2=6

第四試合 カナダ 5-0 ノルウェー(グループB)

「事実上の決勝戦」と観戦を楽しみにしているファンも多い、カナダとノルウェーのカード。これまで幾度となく、世界の頂点をかけて死闘を繰り返してきているライバル同士だ。今大会も第1ピリオドだけでも両チームあわせてペナルティが7つと、激しい内容になった。だが、この試合はカナダが5得点無失点と絶好調。満員の地元大応援団に、勝利をプレゼントした。

カナダは、高い攻撃力を誇るチームだが、なかでも“最強のフォワードライン”とも評価される、Brad BOWDEN、Billy BRIDES、Greg WESYLAKEの3人が大活躍。細かくパスをつなぐだけでなく、ロングやミドルシュートも打ってくる多彩なオフェンス力、ペナルティによって一人少ないキルプレーの状況でも追加点を入れる得点力は、さすがの一言。

対するノルウェーも、気合を入れて試合に臨んだ。だが、カナダの強烈なチェックに苦しみ、主将のTommy ROVELSTAD(DF)も肘を負傷。攻守のリズムが狂わされた。第2ピリオド途中に、ゴールキーパーを変えたが、試合後半はそれまでのラフプレーに体力を消耗させられた影響か、動きにキレがなくなった。それでも、カナダより2本多い4本のシュートを放ち、無得点に抑えるなど、意地を見せた。

◆第四試合スコア
カナダ  2-3-0=5

ノルウェー 0-0-0=0

【グループA最終順位】
1位 アメリカ 3勝0敗 勝ち点9 得失点差+14
2位 日本 2勝1敗 勝ち点6 得失点差±0
3位 チェコ 1勝2敗 勝ち点3 得失点差-2
4位 韓国 0勝3敗 勝ち点0 得失点差-12

【グループB最終順位】
1位 カナダ 3勝0敗 勝ち点9 得失点差+18
2位 ノルウェー 1勝1敗1(OTW) 勝ち点5 得失点差-3
3位 スウェーデン 1勝1敗1(OTL) 勝ち点4 得失点差-9
4位 イタリア 0勝3敗  勝ち点0 得失点差-6

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第4試合、カナダの攻撃の要・Brad BOWDEN(FW)は1ゴール3アシストの活躍をみせた

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第4試合、終了間際までヒートアップするカナダとノルウェーの選手

(取材・文/荒木美晴、撮影/吉村もと)