16日、横浜・山下公園周辺の特設会場でITU世界パラトライアスロン横浜大会が行われた。男子46人・女子14人の選手が出場し、各カテゴリーの優勝をかけて争った。
ゴールテープを切るととびきりの笑顔を見せた。PT2(女子)の秦由加子(マーズフラッグ・稲毛インター)は、スイムをトップで通過し、3種目のランで逃げ切る狙い通りのレース展開で、出場者がひとりだった昨年に続く優勝を飾った。
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また、15選手が出場したPT4(男子)は、ロシアのアレキサンダー・ヤルチック(ロシア)が1時間02分26で優勝。クロスカントリー・バイアスロンでパラリンピックに2度出場している佐藤圭一(愛知県協会)は、得意のバイクで最も速い29分59を記録し、昨年の12位を大きく上回る4位でフィニッシュした。
ロンドンパラリンピック競泳日本代表の木村潤平(ABCキュービック)は、弱点だったバイクとランを強化して臨んだものの、トランジションのミスで無念の失格。
視覚障がいのPT5クラスでは女子の山田敦子(グンゼスポーツ・アスロニア)が2位、男子の中澤隆(青山 トライアスロン倶楽部・タカラ・エムシー・インターフィールド)が3位に入った。
1年後に迫るリオパラリンピックからパラトライアスロンが正式競技になる。2015年7月1日から2016年6月30 日までに開催されるポイント対象大会の結果によりリオ切符が与えられ、この横浜大会はポイント対象大会である9月の世界選手権(シカゴ)の出場権を得るために重要なレースだった。リオに出場できるのは全カテゴリー(男女)で60人。激しい代表選考が待ち受けるが、「ようやくスタートラインに立てた」と話す秦、「まずは世界トップ25にランクインしたい」と話す佐藤らの出場権獲得が期待される。
※2016年リオパラリンピックから正式競技になるパラトライアスロン。国際大会では2014年以降、障がいの種類や程度により5つのカテゴリーに分けて行われており、リオでは女子PT2・PT4・PT5、男子PT1・PT2・PT4が実施される予定だ。
【クラス分けについて】
PT1:両足切断など。ハンドサイクル、競技用車いすで走る。
PT2:膝上切断など。ロードレーサーを使用。義手・義足等などの装具の使用、バイクの改造が認められる。
PT3:麻痺など。ロードレーサーを使用。義手・義足等などの装具の使用、バイクの改造が認められる。
PT4:上肢切断、膝下切断など。ロードレーサーを使用。義手・義足等などの装具の使用、バイクの改造が認められる。
PT5:視覚障がい。タンデムバイクを使用しガイドと一緒に競技する。
(取材・文/瀬長あすか)