陸上 — 2024/5/21 火曜日 at 22:42:01

【世界パラ陸上】開幕前にレーサー破損のアクシデント……佐藤友祈は2位「切り替えていく」

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レーサー破損のアクシデントも、車いすT52の男子400m決勝で2位に入った佐藤=神戸総合運動公園ユニバー記念競技場(撮影/植原義晴)

パリ2024パラリンピックの代表選考を兼ねた「神戸2024世界パラ陸上競技選手権大会」が21日、神戸総合運動公園ユニバー記念競技場で行われた。

車いすT52の男子400m決勝は、世界記録保持者のマキシム・カラバン(ベルギー)が53秒06で優勝。東京パラリンピック金メダリストの佐藤友祈(モリサワ)が57秒98で2位、伊藤竜也(新日本工業)が1分01秒32で3位に入った。上与那原寛和(SMBC日興証券)は5位だった。佐藤は前回大会の結果ですでにパリ大会の出場枠を獲得している。

佐藤は今大会の開幕前、ホテルから競技場までの輸送時にレーサーのフレームが破損するトラブルに遭った。修理不能な状態で、急遽岡山から以前使用していたものを取りに戻り、“代車”でレースに出場。前代未聞のアクシデントに憤りを感じながらも、地元開催で家族や所属先の期待に応えたいと、最後まで走り切った。レーサーは選手それぞれが細部にわたりミリ単位の調整を施したもの。今回もその“相棒”を「勝負レーサー」と呼ぶまで調整し、万全に仕上げてきていただけにショックは計り知れないが、「そのなかでこのタイムは悪くはない。調整したレーサーだったら53秒台を狙えていたと思う。気持ちを切り替えていく。パリではマキシムに土をつけたい」と気丈に語った。

T63の女子100m決勝で銀メダルの兎澤(右)、銅メダルの前川(左)

片大腿義足T63の女子100m決勝は、兎澤朋美(富士通)が15秒76で銀メダルを獲得。また、前川楓(新日本住設)が16秒11の自己ベストで銅メダルを手にした。

車いすT34の女子100mは、日本からエントリーした3選手が全員予選を突破。決勝では、小野寺萌恵(北海道・東北パラ陸協)が予選からタイムを上げ、19秒15のシーズンベストで銅メダルを獲得した。吉田彩乃(関東パラ陸協)が19秒85で5位、北浦春香(インテージ)は20秒02で6位だった。優勝は、5種目の世界記録保持者のハナ・コックロフト(イギリス)が16秒89で優勝した。

車いすT54の男子1500m予選は、鈴木朋樹(トヨタ自動車)と岸澤宏樹(日立ソリューションズ)が決勝進出を決めた。樋口政幸(プーマジャパン)は第2組の7位だった。樋口は18日に行われた男子5000mにおいて銀メダルを獲得していたが、終盤の転倒に巻き込まれたタイの選手団の抗議が認められ23日に再レースとなることが決まっている。「今日は5000mの再レースに集中するために、全力のレースは回避した」と樋口。「すでに気持ちは切り替えている。銀以上の走りをしたい」と話し、前を向いていた。

(取材・文/荒木美晴、撮影/植原義晴)