パリ2024パラリンピックの代表選考を兼ねた「神戸2024世界パラ陸上競技選手権大会」が20日、神戸総合運動公園ユニバー記念競技場で行われた。
視覚障害T12の男子走幅跳で石山大輝(順天堂大)が自身が持つ日本記録を1㎝更新する7m08を跳び、銀メダルを獲得。今夏のパリ大会へ弾みをつけた。石山は「べらぼうに嬉しい。120%の力を出せたし、記録も良かったのが一番の収穫」と喜んだ。石山は前回大会で4位に入っており、すでにパリ大会の出場枠を獲得している。
視覚障害T13の男子100m決勝は、世界選手権初出場の川上秀太(アスピカ)が10秒70のアジア新記録をマークし、銀メダルを手にした。レース後はガッツポーズを見せた川上だが、報道陣の前では「少し時間が経って、2位は悔しいなと。パリで金メダルを獲って、このモヤモヤをなくしたい」と力強く語った。
女子円盤投(座位F53)は、鬼谷慶子(関東パラ陸協)が自己ベストを3m近く上回る14m49を投げて2位に入り、パリ大会の出場枠を獲得した。「練習では13m台を投げていたけれど14mの壁を感じていた。試合で出せるとはびっくり」と笑顔で振り返った。
鬼谷は20歳の時にビッカースタッフ脳幹脳炎を発症。首や体幹の力を入れ続けることができず、手足にも麻痺があるため電動車いすで生活している。治療とリハビリを経て、もともと学生時代に投擲競技をしていた経験もあり、重度の障害でも投てき台に座って競技ができるパラの円盤投げに挑戦。昨年から本格的に取り組み始めたという。銅メダルを獲得した昨年のアジアパラ競技大会以降は筋トレに励み、今大会の銀メダル獲得につなげた。
鬼谷は、「パリでは15m台を目指したい。そして、自分が活躍することで、障害がある誰かのチャレンジする背中を押したい」と、言葉に力を込めた。
片下腿義足T64の女子走幅跳は、中西麻耶(鶴学園クラブ)が前回大会に続いて銅メダルを獲得した。3回目で「ドンピシャだった」という手ごたえある跳躍をしたが、惜しくもファール。その後、5回目の跳躍で5m25のシーズンベストをマークし、3位に入った。視覚障害T13の女子200m決勝は、佐々木真菜(東邦銀行)が26秒87のシーズンベストで3位に入った。
知的障害T20の女子400m決勝で菅野新菜(みやぎTFC)は7位。視覚障害T11の男子1500m決勝で、和田伸也(長瀬産業)が4位でフィニッシュしたものの、その後、ガイドロープ(テザー)のルール違反があったとして失格となった。
(取材・文/荒木美晴、撮影/植原義晴)