パリ2024パラリンピックの代表選考を兼ねた「神戸2024世界パラ陸上競技選手権大会」は25日、神戸総合運動公園ユニバー記念競技場で大会最終日が行われた。
T64の男子200m決勝は、大島健吾(名古屋学院大学AC)が23秒13の自己ベストで銀メダルに輝いた。大島はスタートで素晴らしい反応をみせ、コーナーでも加速。終盤は粘ってリードを保ち3位でフィニッシュしたが、1位のイタリア人選手が失格となったため、繰り上がりで2位に。パリ大会の出場枠を獲得した。大島は「強い選手が不在の中での銀。まだまだ満足はしていないけれど、みんながおめでとうと言ってくれたのでうれしかった」と話し、「義足が外に抜けてしまい、最後はくちゃくちゃしてしまった。そのなかで自己ベストが出たので今後の伸びしろとしたい」と振り返った。田巻佑真(アシックス)は7位だった。
パラ非種目の車いすT52の男子1500mは、佐藤友祈(モリサワ)が3分44秒19で2位に入った。今大会は調整してきたレーサーが輸送時のトラブルで全損したため、急遽以前使用していたタイプに乗ってレースに出場していた佐藤。それでも、エントリーした3種目すべてで表彰台に乗る意地を見せた。上与那原寛和(SMBC日興証券)は4位だった。優勝はライバルのマキシム・カラバン(ベルギー)。
脳性麻痺F37の男子円盤投げで新保大和(アシックス)が自身が持つ日本記録を上回る52m13を投げ、銅メダルを獲得した。兵庫県出身の新保に送られた大きな声援を力に変えた。初出場だった前回大会は4位。地元開催で順位と記録を上げ、存在感を示した。
脳性麻痺T34の男子800m決勝は、古畑篤郎(アルケア)が1分47秒29で5位。T38の男子1500m決勝は、井草貴文(AC・KITA)が4分24秒22のシーズンベストで7位だった。片大腿切断T63の男子100m決勝は、稲垣克明(住友電装)が13秒49のシーズンベストで7位。F41男子やり投げは、山手勇一(日体大)が最後の6投目で自己ベストとなる34m58をマークし、8位だった。
上肢障害T47の女子200mは、辻沙絵(日体大)が2組3着となり、予選敗退した。T38の女子400m決勝は、高松佑圭(ローソン)が8位。T64の女子200m決勝は、山下千絵(SMBC日興証券)が29秒91のシーズンベストで5位に入った。
東アジアで初めて開催された世界パラ陸上は、25日に9日間の日程を終えて閉幕した。日本勢は、銀9、銅12の計21個のメダルを獲得した。
(取材・文/荒木美晴、撮影/植原義晴)