
愛媛県松山市のニンジニアスタジアムで行われている「WPA公認第36回日本パラ陸上競技選手権大会」は27日、競技2日目を迎えた。
初日から好調な走りを見せている川上秀太(アスピカ)は、男子100m(T13)を10秒64で駆け抜け、優勝を果たした。追い風参考(+2.6)ながらアジア記録を上回る走りに、会場が大いに沸いた。課題としているスタートは、冬場の加速練習の成果を発揮。「その後の2次加速がまだ弱い」と話すもののタイムにつながった。川上は「世界選手権までに10秒5台を出しておきたい。本番でもその走りをして、ライバルたちに印象づけられれば」と、力強く語った。また、川上は同200m(T13)も制した。
男子100m(T36)は、松本武尊(ACKITA)が12秒03の日本新記録を樹立。世界選手権の派遣基準記録も突破した。冬の間に取り組んだ体重増加が、パワフルな走りにつながった。「11秒台を狙っていたので……」と悔しそうな表情を浮かべつつも、さらなる理想の走りを追求していく。

女子100m(T47)は、中川もえ(西池AC)が12秒47で1着でゴール。日本記録を上回る快走だったが、追い風参考記録(+3.3)となり、「後半、風に押されて(追風参考記録は)やっぱりなと思った」と苦笑い。ただ、自身が陸上を始めたきっかけとなった憧れの辻沙絵(Ossur Japan)に初めて勝利し、「超えなきゃいけない壁だった。勝てて嬉しい」と笑顔を見せた。
女子走幅跳(T63)は、兎澤朋美(富士通)が2本目で4m88を跳んで自身が持つアジア記録を6㎝更新した。さらに3本目で4m96の大ジャンプに成功。目標に据えている“5m”にあと4㎝に迫った。こちらは追い風参考記録(+3.5)となってしまったが、兎澤は「それでも96㎝は練習を含めても過去最高の数字。“5m”は何年も言い続けているが、今日の跳躍で手ごたえを感じた」と話した。
(取材・文/荒木美晴、写真/植原義晴)