WPA公認の「第37回日本パラ陸上競技選手権大会 兼 第31回日本ID陸上競技選手権大会」が13日、石川県西部緑地公園陸上競技場で開幕した。パラ陸上とID陸上の選手兼が同時に行われるのは今回が初。10月に愛知・名古屋で行われるアジアパラ競技大会の代表選考の最終レースとなっている。
男子走幅跳(T64)では、井谷俊介(SMBC日興証券)が2回目の跳躍で6m82の日本新記録をマークし、優勝を果たした。目標としていたアジア記録を上回る7m10には届かなかったものの、「助走速度が上がり、義足の調整によって踏み切りでより弾めるポイントを見つけられた。課題の着地が改善できれば、常に7mは超えていけると思う」と手応えを語った。
協調運動障がいT72クラスの男子100mでは、坂本渉(DREAM AT)が19秒87の日本新記録で優勝した。T72クラスでは、三輪のフレームランニングを使用し、胸当てに上半身を預けながら足裏で地面を蹴って進む。
坂本はアジア記録に迫るタイムをマーク。2週間前に台湾から取り寄せたマシンに乗り始めたといい、「最適な重心や身体の預け方を探しているところ。足の運び方も調整していて、毎日新しい発見がある。最高速度も上がっている」と成長を実感している。
1975年生まれの坂本は、10歳の時に脳内出血を発症し、左半身に麻痺が残った。1999年パラ陸上を始め、当初は脳原性まひの立位クラス(T37) で短距離種目に取り組んでいたが、2016年ごろから座位クラスに転向し、やり投げと砲丸投げといった投擲種目を主戦場としてきた。今年1月に参加した体験会をきっかけに、ロサンゼルス2028パラリンピックで新たに実施されるT72クラスのトラック競技への挑戦を決意。現在は大阪・長居スタジアムを拠点に練習を重ねており、「世界記録は14秒台。一日も早くその領域に到達したい」と力強く語った。
女子やり投げ(F55)では、小松沙季(電通デジタル)が5投目に19m20を投げ、日本新記録を樹立した。地道なフィジカル強化と投擲技術の向上に取り組み、着実に力をつけてきた小松。昨年の世界選手権ではクラス分けで従来のF54からF55へと変更となったが、ロサンゼルス2028パラリンピックでのメダル獲得という目標は変わらない。今季はアジアパラをターゲットとしており、「アジアランキングを見てもメダルは狙える。一番高い場所を目指したい」と、意気込みを語った。
女子1500m(T13)決勝では、佐々木真菜(東邦銀行)が5分0秒78のアジア新記録を樹立した。
知的障害男子1500m(T20)予選では、昨年の世界選手権銀メダリストの戸田夏輝(NDソフト)が3分55秒94の大会新記録をマークし、全体の1位で決勝進出を決めた。戸田は5月の大会で3分47秒70の日本新記録を樹立。冬場のトレーニングによって、心肺機能や持久力が向上し、記録の伸びにつながっているという。「予選は余裕を持って走れた。次につなげたい」と話した戸田は、翌日の決勝レースへ向けて自信をのぞかせた。
(取材・文/荒木美晴、写真/植原義晴)
MA SPORTS 代表者、ライター