東京・世田谷区の馬事公苑で開かれている「第4回全日本パラ馬術大会」は28日、個人課目のインディビジュアルテストが行われ、5つのクラス分けでもっとも障害が重いグレードⅠは鎮守美奈(明石乗馬協会/コカ・コーラボトラーズジャパンベネフィット)&ジアーナ号が66.488と高得点率をマークし、初日のチームテストに続いて制した。
グレードⅠは3種類ある歩法のうち、もっともゆっくり歩く「常歩(なみあし)」に限られる。鎮守は脳性麻痺のため言葉が発しにくく、両手の自由が利きにくい。日によって筋肉の緊張具合が違い、また障害の特性から、気持ちが入ると意思に関係なく手足が動いてしまう不随意運動が出てしまうため、馬が混乱してしまうことも。そこで、鐙(あぶみ)に置く足をゴムで固定したり、鐙と馬をベルトでつなぐなど馬具に工夫を凝らし、姿勢を安定させている。
日本代表として出場した2004年のアテネパラリンピックから16年。来年の東京大会に向けては、今後も代表争いが続くが、この日のインディビジュアルテストでは、グレードを問わず、エントリーした15人馬中、唯一66%台を記録して、存在感を発揮した。最終日のフリースタイルテストではどんなパフォーマンスを見せてくれるのか、楽しみだ。
東京パラ出場枠は「4」、代表は強化指定選手5人を中心に選考の方針
日本障がい者乗馬協会の三木則夫パラ馬術強化委員長は28日、試合後に会見を開き、来年の東京パラリンピックの代表選考について、今年度の強化指定選手5人のなかから選ぶ可能性が高いことを明かした。三木強化委員長は、「他の選手の成長速度なども加味し、必ずしも強化指定選手の中から選ぶわけではないが、競技に使える馬の現状を考えると強化指定選手が中心になると予想している」と語る。新型コロナウイルスの影響で国内外の大会が中止になり、今後のスケジュールや選考会の開催も未定だが、来年4月ごろには決定の見込みだという。
強化指定選手は下記のとおり
グレードⅠ 鎮守美奈
グレードⅡ 宮路満英、吉越奏詞
グレードⅢ 稲葉将
グレードⅣ 高嶋活士
(取材・文/荒木美晴、撮影/植原義晴)