東京2020パラリンピック馬術日本代表の4選手が7日、東京都内で対面形式とオンラインで記者会見を開き、開幕まで50日を切った本番に向け、抱負を語った。
パラ馬術は演技の美しさと技の正確さを競う馬場馬術を行う。4選手は6月にオランダで開催された代表選考の最終予選会を経て、代表に内定していた。
リオ大会に続き、2大会連続出場を叶えた63歳の宮路満英(グレードⅡ/リファイン・エクインアカデミー)は「東京パラではまだマークしたことがない得点率70%、6位入賞が目標。良ければ3位に入りたい」と意気込みを語った。経路を指示するコマンダーを務める妻・裕美子さんは、「リオ大会は初出場で、現場に着いて2-3日で本番という感じで、あがってしまったり、馬とのコミュニケーションもうまくいかなかった。でも今回は(昨年11月の全日本で本番会場の)馬事公苑も経験しているし、今度はコミュニケーションが悪かったとは言わせない。目標達成に向けて、ふたりで頑張りたい」と笑顔を見せた。
宮路以外の3選手はパラリンピック初出場。宮路と同じグレードⅡで20歳の吉越奏詞(アスール乗馬クラブ)は、高校3年で出場した2018年の世界選手権で個人8位、フリースタイル種目で6位に入賞した若手の期待の星。「この時の成績を糧に東京パラではメダルを狙えるような演技ができるよう頑張りたい」とコメントし、前を向いた。
「どの馬に乗っても図形の正確性が強み」と自身のストロングポイントについて語るのは、グレードⅢの稲葉将(静岡乗馬クラブ)。「たくさんの方に応援、サポートをいただいてこの場にいる。東京パラでは、観ている人に何か感じてもらえる演技をして、メダルを獲得し、少しでも恩返ししたい」と力強く話し、本番を見据えた。
日本中央競馬会(JRA)のジョッキーとして活躍した高嶋活士(ドレッサージュ・ステーブル・テルイ)は、落馬事故で右半身に麻痺が残り、リハビリに取り組んだが復帰は叶わず、現役を引退。その後、パラ馬術に転向した経歴を持つ。「人間との信頼感、愛着、そういうものが魅力」と馬への愛を語る。クラスはグレードⅣ。6月の最終選考会でランキングを上げ、逆転で日本代表の座を掴んだ。「オランダでは馬の敏感なところに対応できていなかった。繊細な指示が出せるようにしたい」と振り返り、「パラは得点率70%以上、入賞を目指したい」と語った。
日本障がい者乗馬協会理事長で日本代表の三木則夫監督は、「シドニー大会に3人出場して以降はリオ大会まで1人ずつしか出場していない。灯を絶やさないように先輩たちがバトンをつないでくれ、今回は4人でパラリンピックを迎えることができる。2000年から携わってきて感じる変化は、日本人選手の実力がずいぶんトップに近づいた、同じ土俵に立っているということ。東京大会ではしっかり結果を残したい」と話した。
(取材・文/荒木美晴)