ブラインドサッカーのクラブチーム日本一を決める「第16回アクサブレイブカップブラインドサッカー日本選手権」のFINALラウンドが23日、調布市のアミノバイタルフィールドで開催された。
過去最多の19チームがエントリー。7月1日・2日に予選ラウンドが行われ、グループリーグと準決勝を勝ち上がった、たまハッサーズと埼玉T.Wingsが決勝に進出した。試合はたまハッサーズが1‐0で勝利。日本代表の最年長プレーヤーとしても活躍する黒田智成が、フリーキックからつないだ鮮やかなシュートでチームを頂点に導いた。
埼玉T.Wingsは女子日本代表で、成長著しい15歳の中学生プレーヤー・菊島宙がスタメンで出場。豊富な運動量でボールをキープし幾度とチャンスメーク。得点こそならなかったが、男子に負けないアグレッシブなプレーで会場を沸かした。
3位決定戦は、Avanzare つくばがbuen cambio yokohama(横浜)を1‐0で下した。前半は両チームとも積極的にシュートを放つも決定打が出ない展開が続く。
試合が動いたのは、試合終盤。つくばの森田翼が右サイドの深い場所から出たボールに反応し、執念のゴール。これが決勝点となり、試合を決めた。つくばは昨年まで4連覇しており、今回も優勝候補だったが、準決勝で埼玉T.WingsにPKの末敗れていた。
今大会は、初出場が5チーム。彼らの活躍にも注目が集まった。そのひとつ、free bird mejirodaiは予選ラウンドの初戦でディフェンディングチャンピオンのAvanzare つくばといきなり対戦した。敗れたものの、試合終了間際にコーナーキックから1点を返し、一矢報いた。キャプテンの園部優月は「つくばは本当に強かったけれど、最後にシュートを決められてよかった。これからもチームとして連携を図り、日本選手権で勝利できるように頑張りたい」と話していた。
ブラインドサッカーは視覚障がいを持つ選手による競技だが、ゴールキーパーは弱視または晴眼者が務める。今大会優勝したたまハッサーズの佐藤大介は、予選から決勝まで無失点の活躍を見せ、チームの勝利に貢献した。また、ナマーラ北海道のゴールは元コンサドーレ札幌GKの芳賀博信が守った。
なお、8月の日本代表イングランド遠征メンバーには、佐藤とともに、今年4月に強化指定選手に選出されていた榎本達也が選出されている。榎本は横浜F・マリノスやヴィッセル神戸、栃木SCの守護神としてプレーした。元Jリーガーが選ばれるのは初めてだという。ゴールキーパーは見えない選手に声で相手選手やボールの位置、試合状況などを指示する。プレーヤーといかにコミュニケーションを図り、信頼関係が築けるか。ゴールキーパーの活躍にも、ぜひ注目してほしい。
(取材・文/荒木美晴、撮影/佐山篤)