ゴールボール — 2008/12/16 火曜日 at 23:45:59

ゴールボール① 〜ボールを「聴く」、集中力の世界〜

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試合風景
今年で15回目を迎えた日本ゴールボール選手権大会

視覚障害者球技「ゴールボール」の日本選手権大会が12月13日から2日間の日程で、滋賀県守山市の市民体育館等で開催された。地域の予選大会を勝ち抜いた、男子8チーム、女子4チームが出場した。

この大会は、障害の有無に関係なく選手の登録が認められており、晴眼者のみで編成したチームも参戦。また、今年9月に行われた北京パラリンピック女子代表の選手全員もそれぞれの地元チームに分かれて参加し、熱戦が繰り広げられた。

ゴールボールは、1チームをセンター、ライト、レフトの3人で編成する対戦型競技。コートは18m×9m。選手はアイシェード(目隠し)を着用して、コートの端に設置されたゴールに向かって鈴(音源)の入ったボールを転がすように投球し、得点を競う。

耳をすまして、聞こえてくる音だけに集中する
耳をすまして、集中する

コートのラインの下には、直径3ミリの紐が通されており、選手は手や足でそのラインを触って自分の位置を確認する。攻撃側の投球は、直球もあれば、スローボールも変化球もあり、バウンドボールも多彩に投げ分ける。ライトからの攻撃と思わせて、足音や鈴の音を消してレフトに移動して投球、という戦術も効果的だ。とくに男子では、ボールを持ったまま一回転し、遠心力を利用してスピードを出す「回転投げ」もよく使われ、そのボールがディフェンスに当たったときの、「ドスッ」という音は、見ている人が思わず肩をすくめてしまうほどの迫力だ。

一方のディフェンスも圧巻だ。転がってくるボールの鈴の音や、投球者の足のステップの音などを「聴き分け」、床に「横っとび」してゴールを守る。ボールが選手間を抜けたり、身体に当たったバウンドボールがゴールにならないように、ディフェンスの位置を細かく調整するなど、チームメートとのコンビネーションも重要なポイントになる。コート上の選手の動きは、「触知覚」と「聴覚」が頼り。フィジカルの強さはもちろんのこと、極限の集中力が必要とされる奥の深い競技だ。

ディフェンスで横っとび
ディフェンスは全身を使って横に倒れながら、ボールを止める

初めてゴールボールを見たという観客からは、「ディフェンスのカバーに味方の選手が入るなど、機敏な動きにびっくりした」「難しい動きのすべてを音だけで判断しているところに、感動した」と、感嘆の声が上がっていた。

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(写真・記事:MA SPORTS/荒木美晴)

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