柔道の男子60㎏級で廣瀬誠(愛知県立名古屋盲学校)が順調に勝ち上がり、決勝に進出。その決勝では、NAMOZOV Sherzod(ウズベキスタン)と対戦し、 開始10秒で袖釣込腰で技ありを取られて追いかける展開に。さらに1分23秒にも隅落の技ありを取られ、一本負けを喫した。目指してきた表彰台の一番高い場所には立てなかったが、今大会日本勢のメダル第一号となった。
アテネパラリンピックでも銀メダルを獲得している廣瀬は、「パラリンピックへの挑戦は今大会が最後」と決めてリオにやってきた。お守りは、出発前に子どもたちと撮った写真。そして日本からはるばる会場にかけつけた家族の大きな声援が背中を押し、決勝まで駒を進めた。相手は世界ランク1位。敗戦は「自分が弱いから負けた」ときっぱり。
「家族やお世話になった人たちの支えがあったからここまで来られた。まだ独身で自分のために戦ったアテネとは、同じ銀メダルでも全然違う。今日の銀メダルは最高のメダルです。胸を張って帰りたい」と充実した表情を見せた。
また、男子66㎏級の藤本聰(徳島視覚支援学校)は3位決定戦に臨み、相手の指導による優勢勝ちで銅メダルを獲得した。過去4大会に出場している藤本だが、ロンドン大会では予選で敗れて出場を逃した。8年越しにたどり着いた大舞台で結果を出した。
女子48㎏級の半谷静香(エイベックス・グループ・ホールディングス)は敗者復活戦を勝ち上がり三位決定戦に臨んだが、ウクライナの選手に小内刈で有効を取られ、メダル獲得はならなかった。今大会はロシア選手の不参加に伴い、急きょ8月25日に出場が決まった。「2週間前は自分がリオにいるとは思いもしなかった」。それでも、初戦敗退の屈辱を味わった4年前のロンドンからは「少し進歩したかな。東京ではさらに上の順位を目指したい」と話した。
女子52kg級の石井亜弧(三井住友海上あいおい生命保険)は初戦で敗れ、敗者復活1回戦でも敗れた。
(取材・文/荒木美晴、撮影/吉村もと)