パラバドミントン — 2022/7/25 月曜日 at 17:35:44

一打集中! 真夏の熱戦「渋谷オープン」開催!

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車いすカテゴリーを制し、最後に表情を緩めたWH1の飯塚裕人=渋谷区スポーツセンター

渋谷区と日本パラバドミントン連盟(JPBF)主催の「渋谷オープンパラバドミントン2022」が24日、渋谷区スポーツセンターで開催された。JPBF の今年度のJPC次世代アスリート育成強化選手を含む11人が参加し、車いす(WH1-WH2)、立位(SL4-SU5)、低身長(SH6)のそれぞれのカテゴリーで総当たり戦による男女混合シングルスを実施。会場に駆け付けた長谷部健渋谷区長らが見守るなか、頂点を競った。

今後のさらなる活躍が期待される車いすカテゴリーの飯塚(中央)、2位の森(右)、3位の友寄

車いすカテゴリーは3人が争い、JPC次世代アスリート育成強化選手で26歳の飯塚裕人が優勝した。22歳で交通事故により車いす生活に。もともとバドミントン経験者で、今大会もラケットワークと戦術が光った。飯塚は試合を振り返り、「優勝を狙っていたので良かった。ただ、緊張していてミスが多かったので、修正していきたい。課題のチェアスキルは日々の積み重ねだと思うので、毎日努力したい」とコメントした。

最後の一戦で飯塚に敗れたものの、キャリア5年の森紀之が2位に入った。森は男子車いすバスケットボール元日本代表で、アテネと北京パラリンピックにも出場したパラリンピアン。5年ほど前に、東京2020パラリンピックのメダリストである村山浩に誘われ、バドミントンをスタートした。競技用車いす自体も、操作も、車いすバスケットボールとは異なり、「とくにバドミントンの前から後ろへ下がる動きに苦労している」と話すが、相手のショットの見極めや要所での連続得点など、高い対応力を見せていた。3位には女子の友寄星名が入った。

SL4-SL5カテゴリーの初戦で対戦した濱田(左)と澤田

4人が参加した立位カテゴリーは、最後の一戦で下肢障害SL4の濱田健一が上肢障害SU5の奈良時雅をフルゲームの末に破り、トップに立った。クラスが違うため、この日が初対戦。濱田は第1ゲームを先取したが、第2ゲームで粘る奈良に連続得点を許し、ファイナルゲームに突入。互いに体力勝負の展開となり、両者死力を尽くすなか、最後は濱田が奈良を突き放した。日本選手権3位の実力を持つ濱田は、「今年は優勝して代表入りしたい」と力強く話した。3位は竹内俊平、4位は女子の澤田詩歩だった。

澤田はレベルの高い立位クラスで、唯一の女子として奮闘し、敢闘賞を受賞。「男子と戦ってスマッシュの速さや力を体感できた。自分の強化にもなるし、いろんな人との対戦を経験するのが楽しい」と語った。澤田は昨年、バーレーンで開かれたアジアユースパラ競技大会でSL4クラスの女子シングルスで金メダルを獲得した期待の18歳。先天的な両手指欠損と右脚ひざ下欠損で、中学と高校は部活動でシャトルを追い、今年から社会人として所属企業のクラブチームで練習に励む。昨年夏に作った競技用義足でトレーニングを重ね、着実に力をつけてきた澤田。国内の同クラスは東京2020パラリンピック女子シングルス5位の藤野遼がけん引しており、「遼さんに勝つことが目標」と言葉に力を込めた。

「楽しくプレー」をモットーとするSH6の鈴木。今大会も積極的に声を出し、モチベーションを上げる姿が印象的だった

低身長のSH6は4人が参加。JPBFの選手発掘・育成プロジェクトのパラバドアカデミー生である鈴木彪河が優勝した。アジアユースパラで表彰台に立った上野智哉との最終戦は、壮絶な点の取り合いとなり、フルゲームにもつれ込む接戦に。ファイナルゲームも19-19と両者譲らない展開となるが、最後まで集中力を保ち、自分を鼓舞し続けた鈴木がもぎ取った。鈴木は「前回(前身の渋谷区長杯)は2位だったので、今回は1位を目指してきた。ミスを減らし、粘る努力をして全試合臨んだ」と振り返り、勝利に笑顔を見せた。3位は青木淳、4位は五十嵐裕子。

(取材・文・撮影/荒木美晴)