パラバドミントン — 2022/11/4 金曜日 at 19:07:41

【世界バド2022】決勝T進出の女子全選手が勝利! 藤野は初のメダル確定に「嬉しい」

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フルゲームの接戦を制し、準決勝進出を決めた女子SL4の藤野=国立代々木競技場第一体育館

「ヒューリック・ダイハツ BWF パラバドミントン世界選手権2022」は4日、各クラスの準々決勝が行われ、女子SL4シングルスの世界ランキング1位の藤野遼(GA technologies)がTugce Celik(トルコ)を21-3、14-21、21-15のフルゲームで下し、準決勝に駒を進めた。3位決定戦は行われないため、藤野にとって世界選手権では自身初となるメダル獲得となり、「嬉しいです」と笑顔を見せた。

対戦相手のCelik とは5月のバーレーン国際でも対戦。この時は予選と決勝で2度戦い、それぞれフルゲームの接戦を藤野が制している。この日も、藤野は「今日も3ゲームを覚悟していた」という通り、混戦の試合展開に。粘りのプレーを見せる相手に対して、第2ゲームは「自分で焦ってしまって負のパターンに陥った」藤野だったが、次第に落ち着きを取り戻し、終盤はコートを広く使った配球で試合を構築した。

大会前の合宿では、男子WH2の梶原大暉(日体大)との半面コートの試合に挑んだところ、70分のフルゲームになったという。敗れたものの、そこで長い時間を戦い切る力がついていることを実感したという藤野。その自信を胸に、明日以降の強敵との連戦に強い気持ちで臨んでいく。

■女子SU5は準決勝で日本人対決へ

女子SU5の亀山楓(高速)、豊田まみ子(ヨネックス)は、それぞれストレートで勝利し、メダル確定。準決勝はふたりによる日本人対決となった。今大会は、東京パラリンピックのメダリストが参加しておらず、4位だった亀山、今季好調の豊田にとっては優勝の大きなチャンスといえる。試合後、亀山は「パラでメダルが獲れなかった悔しさを晴らしたい」、豊田は「やってきたことをコートで表現したい」と、それぞれ意気込みを語った。

女子WH1の里見紗李奈(NTT都市開発)、WH2の山崎悠麻(同)もそれぞれ完勝。車いすクラスのW優勝にさらに前進した。

また、WH1には車いすテニスでカナダ代表として3度、パラリンピックに出場している長久由佳も出場。2015年に行われた競技大会を最後に引退し、学生時代に取り組んでいたパラバドミントンに転向したといい、世界選手権は17年大会、19年大会に続いて3度目。今回はカナダ代表の唯一の女子選手として奮闘している。シングルスでは準々決勝敗退となってしまったが、粘り強いプレーを見せていた。

■男子WH1西村が77分の激闘制して準決勝に進出

強敵との試合を勝ち切り、笑顔を見せる西村

世界選手権初出場の男子WH1の西村啓汰は、準々決勝で今季世界ランキング2位のThomas WANDSCHNEIDER(ドイツ)と対戦し、21-17、18-21、26-24で制した。3度目の対戦で、西村は初勝利。

77分間の大接戦だった。試合巧者の相手の鋭いショットに苦しみながらも食らいつき、1点を取り合う展開に。ファイナルゲームは西村のマッチポイントを4度返され、逆に23-24と相手が勝利に王手をかけたが、「大丈夫!」という仲間の声や観客の応援に背中を押されて取り戻し、ついに5度目のマッチポイントで勝負を決めた。「自分のサーブの時は手が震えた。最後は腕がしびれてラケットが握れなかったけれど、粘り強く耐えられた。今はすごく嬉しい」と、安堵の表情を見せていた。

また、同じくWH1の長島理(LIXIL)、村山浩(SMBCグリーンサービス)は準々決勝で敗退した。

WH2の第1シードの梶原大暉(日体大)は、大会前に注目選手として挙げていたYu Sooyoung(韓国)を21-12、21-11で下した。松本卓巳(創政建設)は世界ランク4位のドイツ人選手にストレートで敗れた。準決勝での日本人対決は叶わず、梶原は自身の試合後、「一緒に練習してきたので悔しい。明日は松本選手の分まで頑張りたい」と語った。

男子SL3の藤原大輔(ダイハツ工業)が韓国人選手に21-15、21-14で勝利。世界選手権では自身初の表彰台を決めた。準決勝では、東京パラリンピック金メダリストで世界選手権3連覇中の王者、Pramod Bhagat(インド)と対戦する。東京パラの準決勝で対戦して敗れている藤原は、「彼はスピードが速いので、まずは守りを固めてついていきたい。いくつもの壁があるが、しっかり挑んでいきたい。日本の地の利を生かして、大金星を挙げたい」と、力を込めた。

男子SU5の今井大湧(ダイハツ工業)もトルコ人選手に21-17、21-15のストレート勝ちをおさめた。

(取材・文・撮影/荒木美晴)