パラバドミントン — 2022/11/3 木曜日 at 23:11:22

【世界バド2022】初出場の西村も準々決勝へ「勝って成長を見せたい」

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2016年から競技を始めたという西村。世界選手権は初出場ながら準々決勝進出と、存在感を放っている=国立代々木競技場第一体育館

「ヒューリック・ダイハツ BWF パラバドミントン世界選手権2022」は3日、男子のシングルスとダブルス、混合ダブルスの決勝トーナメントがスタートした。

男子の車いすシングルスは、WH1の村山浩(SMBCグリーンサービス)、長島理(LIXIL)、西村啓汰、そしてWH2の梶原大暉(日体大)、松本卓巳(創政建設)の日本人選手5人全員が1回戦に勝ち、準々決勝に駒を進めた。

世界選手権初出場のWH1西村は、Yuri FERRIGNO(イタリア)を21-13、21-14で下した。序盤は相手のパワーを活かしたラインぎりぎりの深いショットに手こずったが、次第にリズムを取り戻して自身のペースに持ち込んだ。準々決勝の相手はドイツのThomas WANDSCHNEIDER。世界選手権は過去に単複で4度優勝している58歳の大ベテランだ。これまでにシングルスでは2度対戦し、まだ勝利は挙げられていないが、西村は「勝って成長を見せたい」と意気込みを語った。

■再結成の村山・梶原組は韓国ペアに敗れる

東京パラリンピックで銅メダルを獲得した「ムラカジ」こと、男子ダブルス(WH1-WH2)の村山・梶原組は、1回戦でJeong Jaegun・Yu Sooyoung組(韓国)と激戦を繰り広げ、22-24、21-19、16-21で敗れた。試合後、村山は「私が少し乱暴な球出しをしてしまった。最後に小さくなってしまった」と振り返った。東京パラ後は、村山は松本と、梶原は西村とダブルスを組んでいたが、今大会から「ムラカジ」ペアが復活することになった。この試合では強豪の韓国の底力を見せつけられたが、それでも梶原の強打、そしてラリーの応酬を制する村山の粘りなど、要所で二人らしさが出た試合だった。今後のさらなるスケールアップに期待したい。

■悔しさ糧に2大会ぶり世界選手権出場を果たした中村

試合後、中村は「もっと自分が結果を残し、SL4に新しい選手が出てくる環境を作れたら」と話した

男子立位では、SL4の中村海斗がSiripong TEAMARROM(タイ)に10-21、15-21で敗れた。中村にとって、今大会は2017年大会以来、2度目の世界選手権。ベスト8には届かなかったが、世界的に層の厚いクラスにおいて、5年前に成しえなかった決勝トーナメント進出を果たしたことは、ひとつの成果といえるだろう。

大会前、中村はこう話していた。「前回の19年の大会に出場できず、コロナ禍の2020年度は連盟の次世代アスリートに選ばれたのに、翌年度は落選してしまった。その時に改めて、いかに自分がパラバドミントンの日の丸を背負うことを誇りとしているのかを実感した。そこから強い想いを持って練習に臨んできたことが今年度の強化指定選手、そして今大会の出場につながったと思うし、結果を残したい」。その言葉のとおり、ひとつ上のステージで強敵と戦った経験は、今後の成長にきっと生きるはずだ。

なお、男子立位SH6の畠山洋平(Tポイント・ジャパン)、混合ダブルス(SL3-SU5)の伊藤則子(中日新聞社)・今井大湧(ダイハツ工業)組は1回戦敗退となった。

立位の女子シングルスでは、SL4の藤野遼(GA technologies)がフランスの選手にフルゲームで勝ち、予選リーグ全勝。SU5の亀山楓(高速)、豊田まみ子(ヨネックス)も4日の準々決勝に挑む。女子車いすは、WH1の里見紗李奈(NTT都市開発)、WH2の山崎悠麻(同)がそれぞれ予選リーグを勝ち上がり、準々決勝に進んだ。里見と山崎は女子ダブルス(WH1-WH2)でも決勝トーナメントに進出し、こちらは準決勝から登場する。

(取材・文・撮影/荒木美晴)