「ヒューリック・ダイハツ Japanパラバドミントン国際大会2023」は9日、各クラスの予選グループの試合が行われた。
女子SU5シングルスは、亀山楓(高速)がここまで8連勝中だったイタリアの選手に初めて黒星を喫し、予選敗退。「相手のペースに合わせてしまい、自分主導で試合を展開できなかった」と悔やんだ。杭州アジアパラでは日本から亀山を含めて3人がこのクラスにエントリーしていたが、今大会は亀山のみ。期待をひとりで背負って戦った亀山は、「日本開催で決勝トーナメントに進出できなかったのがとても悔しい」と涙を流した。今大会は、パリパラリンピックの選考レースのひとつ。東京パラは4位と、メダルを逃した亀山はその悔しさをバネにパリへの挑戦を続けている。最後は涙をぬぐい、「パリの出場権を獲得して、表彰台に上りたい」と、奮い立った。
女子SL4シングルスは、藤野遼(GA technologies)がインドの選手にフルゲームで競り勝ち、予選グループを1位で突破。決勝トーナメントは第1シードでライバルを迎え撃つ。
ここまで1勝1敗の男子SH6の畠山洋平(CCCMKホールディング(株))は、シングルスで中国の選手にストレートで敗れて2敗となり、悔しい予選敗退となった。杭州アジアパラでも対戦して敗れている相手。「1ゲーム目はラリーはできていたけれど、決め急いでミスが出てしまった」と反省を口にした。敗れてしまったが、厳しいコースに打たれたショットをダイビングレシーブで返したりと、シャトルが落ちる瞬間まで粘って追い続ける姿勢を貫いた。
これまでの国際大会はSH6クラスにエントリーする日本人は畠山のみ。競技人口の拡大を願って、畠山は競技と両立して講演会や発掘事業にも積極的に参加し、情報発信してきた。その甲斐あって、少しずつプレーヤーが増えてきている。「低身長の人でバドミントンをやる人が増えてほしい。もっと自分がいい成績を残して、さらにたくさんの人に観てもらう機会を増やしていきたい」と力強く語った。
今大会は、次世代アスリートの上野智哉もエントリー。上野はブルネイの選手に24-22、21-15と競り勝ち、初めての国際大会で1勝を挙げた。「2連敗していたので今日は絶対に勝ちたかった」と話し、「海外の選手とプレーをしてパワーや力の差を感じた。足りないところを強化して今後につなげていきたいと、改めて思った」と振り返った。
男子WH1の飯塚裕人、大山廉織はシングルスで決勝トーナメントに進出したが、それぞれ1回戦で敗れた。ふたりが組むダブルスは予選敗退となった。公式戦初出場の女子SL3の束原菜々香、武田佳乃は予選グループで勝利はならず。武田は大会を振り返り、「世界のレベルを肌で感じ、こういう高いレベルでみんなは切磋琢磨しているんだとわかった。本当に勉強になったし、私もそのレベルに行けるように頑張りたい」と、言葉に力を込めた。
同じく次世代アスリートのWH1友寄星名は、女子シングルスで第2シードのベルギーの選手と対戦。格上を相手に粘りのプレーで得点を重ねるが、惜しくも届かず、予選敗退となった。「自分よりランクが上の選手と試合ができた。そのなかで、きつい場面でのつなぎ方のテクニックなど、たくさん学ぶことがあった。すごくいい経験になった」と語った。1月に開催予定の日本選手権では、女王・里見紗李奈(NTT都市開発)との対戦が予想される。「1点でも多くポイントが取れるように頑張りたい」と、憧れの先輩との対戦を楽しみにしているようすだった。
その里見は、予選グループの最後の試合で17歳の新星・CHAOYUE fan(中国)に21-18、21-18で勝利した。第2ゲームは5-11とリードを許すが、そこから気持ちを切り替えて、前後の揺さぶりで相手を追い込み、逆転勝利につなげた。
(取材・文/荒木美晴、撮影/植原義晴)