「ヒューリック・ダイハツJapanパラバドミントン国際大会2026」は11日、東京体育館で各クラスの決勝トーナメントが行われた。
女子シングルスSL3準々決勝では、第1シードの河合紫乃(セイリン)がマリア・グアダルベ・ロハス・ペレス(メキシコ)を21-1、21-6で破った。予選リーグから引き続き相手を圧倒する強さを見せ、準決勝進出を決めた。
幼少期からバドミントンに取り組み、高校時代には全日本ジュニア5位、法政大時代はインカレ団体優勝を2度経験。卒業後はS/Jリーガーとして活躍していたが、股関節の手術をきっかけに左脚に麻痺が残り、選手活動の継続が難しくなった。2018年には車いすフェンシングへ転向し、わずか1年で日本代表に選出されたものの、パラリンピック出場は叶わなかった。
その後、左脚の壊死が進行し、2年前に左脚を切断。パラバドミントンへ転向すると、障害の程度からすれば本来は車いすのWH2に該当するなか、あえて健常のときと同じような感覚でプレーできる立位を選び、義足を着けてSL3で戦う選択をした。
自身のプレースタイルや身体の変化と向き合いながら、障害に合わせた競技用義足の調整も重ねてきた。2025年8月には海外初遠征だったペルー国際を制覇。前年は手術を経て観客席から観ていたジャパン国際でも優勝すると、今年2月の世界選手権では初出場で初優勝を飾り、世界ランキング1位に浮上した。
「自分の人生のすべてをかけて取り組んでいる」という競技生活は、「当初のプランよりも少し早い」というペースで進んでいる。その原動力となっているのがパラリンピックへの想いだ。
「パラリンピックの舞台に立った時、そして表彰台の真ん中からはどんな景色が見えるのかなって。それだけです、私を突き動かすものは」
今大会はパリ2024パラリンピックのメダリストが出場しておらず、また初対戦の相手との試合が続く。それでも河合は、「ミスをせず、しっかりと主導権を握る戦いをしたい」と次戦を見据える。世界の頂点まで駆け上がった勢いを、さらに加速させていく。
男子シングルスSL3準々決勝では、藤原大輔(ダイハツ工業)がジャガデーシュ・ディリ(インド)を19-21、21-16、21-13で破り、準決勝進出を決めた。第1ゲームを落としたものの、第2ゲーム以降は立て直して逆転勝利。準決勝では、2月の世界選手権を制した前回王者のプラモド・バガット(インド)と対戦する。
藤原からみた通算成績は3勝24敗と負け越しているが、これまでの対戦を通じて互いに手の内を知る相手でもある。藤原は「アグレッシブにプレーして、観に来てくれる人たちの前でいい試合がしたい」と、世界王者との一戦を見据えた。
同SU5準々決勝では、今井大湧(ダイハツ工業)がムハンマド・ファリス・アハマド・アズリ(マレーシア)にストレート勝ち。準決勝進出を決めた。女子シングルスSL4では、中村鈴(精華女子短期大)が世界ランキング10位のマルジョリ・ボワジョル(フランス)と初対戦。世界トップ10の実力者を相手にストレートで敗れ、準決勝進出はならなかった。
女子シングルスWH1では準決勝が行われ、世界ランキング1位の里見紗李奈(NTT都市開発)が同4位のシンシア・マセズ(スイス)に、同2位の友寄星名(ダイハツ工業)が同3位のマンケイ・トー(ベルギー)をそれぞれ下した。決勝は里見と友寄による日本人対決となり、最終日の頂上決戦に注目が集まる。また、男子ダブルスWH1-WH2では、第1シードの梶原大暉(ダイハツ工業)・西村啓汰(パシフィック車いすバドミントンクラブ)が決勝進出を決めた。
(取材・文・写真/荒木美晴)
MA SPORTS 代表者、ライター