【ジャパン国際】日本勢が躍動! 西村が世界1位を破り初優勝! 梶原・里見は4連覇

日々の強化と梶原とのダブルスで磨かれたというチェアワークでショットを拾い勝利につなげた西村=東京体育館(撮影/植原義晴)

「ヒューリック・ダイハツJapanパラバドミントン国際大会2026」が9月8日から6日間にわたり、東京体育館で開催された。世界32カ国から約200人が参加し、各クラスで頂点を争った。日本からは、10月の愛知・名古屋2026アジアパラ競技大会の日本代表12人が出場。最終日の14日は各クラスの決勝が行われ、日本勢が世界の強豪を相手に存在感を示した。

男子シングルスWH1では、西村啓汰(パシフィック車いすバドミントンクラブ)が世界ランキング1位で第1シードのムハンマド・イフワーン・ラムリ(マレーシア)を13-21、21-11、21-15のフルゲームで破り、ジャパン国際初優勝を果たした。

これまで7連敗中だった相手から初めてゲームを奪うと、第3ゲームも流れを譲らず、一気に初勝利をつかんだ。強化してきた「早く打点に入る」ことを終始意識して臨んだ西村。序盤は攻めたい気持ちが先行し、低く速い展開に持ち込んだところを逆に狙われて失点する場面もあったが、第2ゲーム以降は焦らずに高さのあるショットやロブを織り交ぜてペースを変え、試合を組み立てた。「全体的には相手が主導権を握っていることが多かったけれど、勝てたことは自信になる。やってきたことは間違いではないという証明になるので、これからもそこを突き詰めて練習していきたい」。初めて手にした大金星を、今後の成長につなげる決意を笑顔で語った。

同WH2では、世界ランキング1位の梶原大暉(ダイハツ工業)と同7位の大山廉織(KOMPEITO)が決勝で対戦。21-9、21-4で梶原が勝利し、大会4連覇を達成した。さらに男子ダブルスWH1-WH2では、西村・梶原組がマレーシアのペアをストレートで下して優勝。2冠達成に梶原は喜びをみせながらも、「アジアパラには今回出場していない韓国勢や中国勢が出てくる。僕たちのペアももっとブラッシュアップできると思うので、課題を修正し、本番では地元のみなさんに僕たちが勝つところを見せたい」と気を引き締めた。

里見が友寄を下して4連覇「私も止まっていられない」

里見は接戦となった友寄との決勝に勝利。表彰式ではふたりで笑顔で並んだ

女子シングルスWH1では、第1シードの里見紗李奈(NTT都市開発)と第2シードの友寄星名(ダイハツ工業)が対戦。21-18、21-16で里見が制し、大会4連覇を成し遂げた。

これで両者の通算対戦成績は里見の9連勝となった。一方、20歳の友寄は世界ランキングを2位まで上げ、里見を追う存在として力を伸ばしている。中国勢をはじめ多くのライバルに研究され、接戦となる試合も増えている里見が、警戒する選手の筆頭に挙げるのも友寄だ。友寄がパラバドミントンを始めたころから、里見は試合の展開や駆け引き、時間の作り方などを教えてきた。身近で成長を見続けてきたからこそ、今では最大の刺激を受ける存在になっている。

「星名が一番身近にいて、私のことを一番知っている。成長した星名と対戦すると自分と戦っているみたい。会うたび強くなっているし、私も止まっていられない」

この決勝では2ゲームとも先に11点を奪われる展開となったが、里見は「星名のやりたいことを考えて」冷静に立て直し、逆転で勝利をつかんだ。アジアパラでは今大会不在だった中国勢も加わる。追われる立場のなかで積み重ねた経験を糧に、里見は「自分で考えて勝ち切る力がついてきている。それがアジアパラにも活きると思う」と力強く語った。

敗れた友寄も、確かな手ごたえを得た。タイヤのインチを上げて筋力強化に取り組んだ成果もあり、「以前よりラリーが続くようになり、展開を作れるようになった。もっと練習してさらに点が取れるようにしていきたい」と、さらなる成長を誓った。

河合が大会2連覇! 世界1位の実力を見せつける

圧倒的な強さと存在感を示した河合。アジアパラでも活躍に期待が集まる

女子シングルスSL3では、河合紫乃(セイリン)がケイトリン・ドランスフィールド(オーストラリア)を21-2、21-6で破り、大会2連覇を達成した。世界ランキング1位の河合は、予選リーグから決勝まで、すべての試合で相手に与えた得点を2ゲーム合計9点以下に抑える圧倒的な強さを披露。パリ2024パラリンピックのメダリストらがエントリーしていなかった今大会では、「ミスをしないこと」を目標にしていたという。

今年2月の世界選手権では、初出場ながら準々決勝でパリ2024大会銀メダルのクォニタイクチアル・シャクロ(インドネシア)、準決勝で同金メダルの肖祖賢 (中国)、決勝で同銅メダルのマリアムエニオラ・ボラジ (ナイジェリア)を相次いで破り、初優勝を飾った。10月のアジアパラでは半年ぶりにシャクロや肖らと再戦する可能性も高く、河合は「カットの精度を上げてきたので、アジアパラで試したい」と、さらなる進化への手ごたえを口にした。

“王者“チア・リク・ハウに敗れた今井(左)。地元開催のアジアパラでのリベンジを誓う

男子シングルスSU5では、第2シードの今井大湧(ダイハツ工業)が第1シードのチア・リク・ハウ(マレーシア)に13-21、11-21で敗れ、準優勝。これで通算20回目の対戦となった。「試合前から調子も動きも良かったがゆえに、自ら低い展開にしてしまい、押し込まれた。最近で一番ボコボコにされてしまった」。そう振り返った今井だが、敗戦を前向きに受け止めている。「ただ、アジアパラ前に再確認できたことは良かった。プラスに捉えたい」。

今大会では、取り組んできたフィジカル強化の成果を発揮し、順調に決勝トーナメントへ進出。準決勝では、2年間勝利できていなかったメリル・ロケット(フランス)をストレートで下すなど、スケールアップした姿を見せた。決勝では試合巧者を相手に思うような展開に持ち込めなかったものの、悔しさとともに確かな自信もつかんだ6日間だった。

愛知県出身の今井にとって、アジアパラは地元で戦える大舞台。「今日の悔しさを持ち帰って練習し、絶対に金メダルを獲れるように準備したい」と、10月へ向けて力強く語った。

(取材・文/荒木美晴、写真/植原義晴)