「第19回全日本パラ・パワーリフティング国際招待選手権大会」が2日、八王子市の日本工学院八王子専門学校で開幕した。日本一を決める国内最高峰の大会で、今回から新たに海外選手を招待する国際大会となり、強豪ベトナムやラオス、韓国の選手も参加している。大会は3日まで行われる。
女子55㎏級のマクドナルド山本恵理(日本財団パラリンピックサポートセンター)が、力強いガッツポーズを見せた。第2試技で日本新となる56㎏に成功すると、さらに第3試技でそれを上回る59㎏を挙げて記録を更新し、優勝した。これまでの大会では、なかなか思い通りの結果が得られず、苦しんできた。目標は東京パラリンピック。もう一度自分を見つめ、「課題である精度を上げる練習をしてきた」と山本。今日はその努力が実り、特別試技を除く3回の試技すべてで、3人の審判全員が成功と判断する「白9個」の完璧なパフォーマンスをしてみせた。7月の世界選手権の標準記録も突破。「やっとスタートラインに立った」と前を見つめる山本は、ここから再び大きな一歩を踏み出す。
女子67㎏級は高校1年の森﨑可林(立命館守山高)が特別試技で55㎏に成功し、自身が持つ日本記録を更新した。5位に入った昨年のアジアパラ競技大会後に、イギリス人指導者のジョン・エイモス氏のメニューに取り組み始めた。練習ではより重い重量を挙げられるようになってきたといい、「次の大会でも記録を出したい」と言葉に力を込めた。
また、女子最軽量の41㎏級の成毛美和(パワーハウスつくば)が51㎏、61㎏級の龍川崇子が50㎏をそれぞれ成功させ、日本新記録を樹立した。
男子は54㎏級の西崎哲男(乃村工藝社)が存在感を見せた。136㎏の日本記録を持つ西崎は、第1試技で“安全圏内”のはずの132㎏を失敗。すぐに切り替え、第2試技で同重量を完璧に挙げ成功すると、第3試技で137㎏の日本新をマークした。続く特別試技の140㎏は惜しくも失敗とジャッジされたが、感覚は軽く、手ごたえもあった。ただ、最初の失敗がなければ、目標としていた141~142㎏への挑戦が見えていただけに、「1本目で決めたかった。メンタルが弱い」と悔しさをにじませる。
とはいえ、日本記録の更新は実に2年8カ月ぶり。壁を突破した41歳の西崎が、東京パラに向けどんな成長曲線を描いていくのか楽しみだ。
(取材・文/荒木美晴、撮影/植原義晴)