パラ・パワーリフティングの国内トップ選手および一般部門等の選手が出場する「第1回チャレンジカップ京都」が12〜13日、同競技の強化拠点に指定されている京都府城陽市のサン・アビリティーズ城陽で行われた。
9月に北九州市で開催されるアジア・オセアニアオープン選手権の出場権をかけた大会で、今年新設された。アジア・オセアニアオープン選手権は2020年東京パラリンピック出場のためには参加必須と位置付けられており、標準記録突破に向けて、各階級で熱戦が繰り広げられた。
12日は強化選手の部が行われた。女子は3階級に3人、男子は9階級に20人がエントリー。女子のマクドナルド山本恵理(日本財団パラリンピックサポートセンター)は、昨年12月の全日本から階級をあげて55㎏級に出場。前回の世界選手権で失格の要因となった、胸の上での「止め」を意識し、これまでの肩幅より広めにバーを持つワイドグリップから、狭い位置で握るナローグリップに変更して練習してきた。この日も安定感の増した試技で日本記録を更新する53㎏を挙げたが、続く試技ではわずかな傾きで成功判定されず、目標の60㎏には届かなかった。「本当に悔しい。でも、課題が明らかになったし、止めは成功したので良かった部分もあります。アジア選手権に向けてしっかり調整していきたい」と話し、前を見据えた。
男子は2階級で日本記録を更新
72㎏級の樋口健太郎(個人)は、第3試技で日本新となる160㎏に成功。160㎏は今季世界ランキングの6位タイに相当する好記録だ。樋口は昨年9月末に交通事故で右ひざ上から切断。10月に手術を終え、その3カ月後の全日本に出場し初優勝を遂げる鮮烈デビューを果たしている。受傷前はスポーツトレーナーをしており、コーチ陣の指導もあって「身体づくりは順調」と手ごたえを感じている様子。東京パラに向けては、毎年10㎏ずつ重量を上げていくプランだといい、「まずは今年中に170㎏を挙げたいです」と抱負を語る。
97㎏級の馬島誠(個人)は第1試技で、自身が持つ日本記録を上回る148㎏に成功。第2試技でも155㎏を挙げさらに記録を更新し、順調な仕上がり具合を見せた。
また、パラリンピックに3度出場している88㎏級の大堂秀樹(個人)はケガから復帰。3本とも乱れのない美しいパフォーマンスで会場を沸かせ、今大会最も重い重量となる194㎏に成功した。
65㎏級の佐野義貴(アクテリオンファーマシューティカルズジャパン)は134㎏を挙げて混戦を制した。佐野は昨年の世界選手権では従来の72㎏級でエントリーしていたが、思うように体重が増えず、全日本から65㎏級で挑戦している。体重の変化と胸で止める際の精度に苦労しつつ、調整を重ねているところだ。「重量的には満足できないけれど、ひとまず結果を出せて良かった」と佐野。アジア選手権に向けては、「少しスパンがあくので、その間にしっかりトレーニングしたい」と、力強く話してくれた。
アジア・オセアニアオープン選手権は今年9月、北九州市芸術劇場で開催予定。アジアには世界記録保持者などトップリフターが多いことから、世界レベルの白熱した試合展開が期待される。
(取材・文・撮影/荒木美晴)