7月15、16日の2日間、大阪・門真市のなみはやドームで「2012ジャパンパラ水泳競技大会」が行われた。今年で22回目を迎えた今大会は、ロンドンパラリンピック前の最後の公式大会であり、日本代表選手16人全員が出場。パラリンピックを想定したレースプランで戦いに挑んだ。女子100m背泳ぎでは、秋山里奈(視覚障害、S11)が世界新記録をマーク。2日間を通して、この世界新記録を含む56の大会新記録が誕生した。
世界新記録を金メダルへのステップに
会場の電光掲示板に秋山のタイム、1分18秒59が表示された瞬間、会場のボルテージは一気に上がり、大きな歓声と拍手に包まれた。秋山がメインとしている100m背泳ぎ決勝で出した世界新記録。
午前の予選でも世界記録にあと0.1秒に迫る好タイムを出し、2年間かけて目指してきた20秒切りを実現したものの、「(コースが曲がりタイムロスした後半に)疲れが出た。壁に早くつかないかなと弱気になっていた」とレース展開には納得していなかった。
それだけに、決勝で結果を出せたことに「良かったです」と話し、「今までコーチが見に来てくれた大会で記録を出せたことはなかった。今日は生で見てもらえて嬉しい」と笑顔をのぞかせた。
だが、ロンドンでの頂点を狙う彼女にとって、このタイムもひとつの通過点に過ぎない。「ここで世界新を出しても、(パラリンピックの)本番で結果が出せなければ意味がない。もっと上を目指して、残りの期間は精一杯、練習を頑張りたい」と、最後は表情を引き締めた。
ロンドンにむけてそれぞれの調整
ロンドンパラリンピックで旗手をつとめる木村敬一(視覚障害、SM11)は、男子200m個人メドレーで2分31秒32をマーク。大先輩の河合純一の大会記録を12年ぶりに塗り替えるなど、順調な仕上がりを見せた。
アテネ大会の4×50mメドレーリレー(20pts)で銀メダル、北京大会の50m平泳ぎ(SB3)で金メダル、150m個人メドレー(SM4)で銅メダルを獲得している鈴木孝幸(運動機能障害)は、報道陣からロンドンへの意気込みを聞かれ、「だいぶ(調子が)上がってきた。気持ちがロンドンに向いてきた」と答えた。4年前と比べて成長した部分については「たぶんメンタルだと思います。厳しい状況の中でも前向きに取り組めるようになった」と話しており、3大会連続表彰台の期待が高まる。
また、ロンドンでは3大会ぶりに知的障害クラスが復活。日本代表の田中康大(SB14)は100m平泳ぎで、長尾智之と津川拓也(ともにS14)は100m背泳ぎでそれぞれ大会記録を更新した。
ロンドンパラリンピック(8月29日〜9月9日)の水泳競技は、開会式翌日の8月30日から始まる。
(取材・文/加々美美彩、撮影/荒木美晴)