車いすテニス — 2020/1/31 金曜日 at 23:07:41

【全豪OP】女子複で上地・ワイリー組が優勝!

by
女子ダブルスで息の合ったプレーを見せ、優勝を飾った上地・ワイリー組=オーストラリア・メルボルンパーク(撮影/植原義晴)

全豪オープンテニス車いすの部は31日、ダブルス決勝が行われ、上地結衣(三井住友銀行)/ジョーダン・ワイリー(イギリス)組がディフェンディングチャンピオンのディーダ・デ グロート/アニク・ファンクート(オランダ)組を6-2、6-4で破り、優勝を果たした。上地個人としては別選手と組んで2018年大会で優勝しており、2年ぶり5度目のタイトルとなる。

気温が40度を超え、前日に続きこの日もヒートルールが適用。午後3時に開始予定だった試合は、3時間半遅れの午後6時半に変更された。

デ グロート・ファンクート組は、2019年の4大大会すべてを制する年間グランドスラムを達成している。その世界最強ペアに対し、上地・ワイリー組は丁寧な配球で試合を構築して着実にポイントを重ね、第1セットを先取する。第2セットは2-3とリードを許して迎えた第6ゲーム途中に、ボールが揺れるほどの突風が吹く場面があったが、集中力を切らさず、最後はワイリーがサービスエースで取り返した。

その後も上地がコースを突き、ワイリーが前に出て決める得意のパターンでポイントを重ね、上地とワイリーのコンビではグランドスラム通算10度目のタイトル獲得となった。

表彰式のインタビューで涙をこらえきれない上地をワイリーが抱きしめた

表彰式のオンコートインタビューで上地は、マイクを向けられて話はじめるものの、涙で言葉にならなかった。その上地の肩を隣でワイリーが優しく抱きしめた。今年は今大会を含む3大会で、シングルスで対戦しているふたり。「やっと一緒に戦えたという気持ち。彼女は特別な存在なので……」と、上地は声を絞り出した。

上地がワイリーと組んでグランドスラムタイトルを手にするのは、2017年のウィンブルドン以来。長くペアを組むふたりだが、2017年にいったんペアを解消している。その後、ワイリーは出産を経て2019年に競技に復帰。その年の9月のフランスの大会では再びペアを結成し、優勝を飾っている。

2014年にダブルスの年間グランドスラムを達成した際、ワイリーはパートナーの上地に敬意を表し、右腕に漢字で「前人未到」の文字を刻んだ。ライバルであり、親友でもあるふたりの絆は固く、今大会もブランクを感じさせない息の合ったプレーで観客を魅了した。「お互いにやろうとしていることが、本当によくわかるんです。隣でプレーをしていると自分を高められるし、ジョーダンという最高のパートナーと再び勝つことができて、すごく嬉しいです」と上地は話し、最後は満面の笑みを見せていた。

男子ダブルスを制したヒューウェット・リード組

男子ダブルス決勝は、第2シードのアルフィー・ヒューウェット/ゴードン・リード(イギリス)組が第1シードのステファン・ウデ/ニコラス・ペイファー(フランス)組を6-4、4-6、[10-7]で下し、優勝を遂げた。

(取材・文/荒木美晴、撮影/植原義晴)