全豪オープンテニス車いすの部は1日、クアードのシングルス決勝がロッド・レーバー・アリーナで行われ、大会5連覇中のディラン・アルコット(オーストラリア)が全米王者のアンディ・ラプソーン(イギリス)を6-0、6-4で破り、6度目の優勝を果たした。
世界ランキング上位3人とワイルドカード1枠の4人が出場するクアード。シングルスは総当たりの予選を行い、全勝のアルコットと2勝1敗のラプソーンが決勝で激突。アルコットは左右に広げると1m95㎝ある長い腕から繰り出す威力あるショットでコースを突き、第1セットをラブゲームで奪取。対するラプソーンは第2セット、精度の高いサーブと丁寧な配球で試合を構築して接戦に持ち込むが、最後はアルコットとの打ち合いに敗れた。
優勝を決め、車いすをくるくると回転させるいつものポーズで観客の大声援に応えるアルコット。試合後の記者会見では、「アンディとグランドスラムでプレーできたことはラッキーなこと。ベストを尽くすことが自分がやるべきことだと思っているし、今日勝てたことは幸せに思う」と話した。
また、オーストラリアの森林火災についても言及し、寄付したことを述べるとともに、「私はオーストラリア人。自分ができることはすべてやりたい」と語った。
アルコットは地元メルボルン生まれの29歳。これまで9度、グランドスラムで優勝しており、とりわけ地元の全豪では圧倒的強さを発揮。今大会はダブルスも制したことで、単複優勝の記録を「3」に伸ばし、輝かしい成績をキャリアに追加した。アルコットはリオパラリンピックでも単複で金メダルを獲得しており、今年の東京パラリンピックでも活躍が期待される。
ちなみに、彼はかつてジュニアで活躍しながら、17歳の時には車いすバスケットボールのオーストラリア代表として北京パラリンピックで金メダルを、またロンドンパラリンピックでも銀メダルを獲得している。
(取材・文/荒木美晴、撮影/植原義晴)