福岡県飯塚市のいいづかスポーツ・リゾートテニスコート等で行われている「天皇杯・皇后杯 第39回飯塚国際車いすテニス大会(Japan Open 2023)」は19日、競技2日目を迎えた。女子シングルスは第4シードの大谷桃子(かんぽ生命)が2回戦に登場し、須田恵美に6-0、6-0で勝利し、準々決勝進出を決めた。
「久しぶりの国内大会の出場で、緊張して最初は身体が動かなかったけれど、試合が始まると応援してくれる人も多くて楽しくできた」と、笑顔を見せた大谷。この日は正確かつ威力のあるショットを決め、最後まで主導権を握った。
東京2020パラリンピックでは、上地結衣(三井住友銀行)と組んだ女子ダブルスで銅メダルを獲得。その後も好調を維持していたが、昨年は過酷なシーズンになってしまった。昨年7月下旬、運転中に後ろから車に追突されて頸椎捻挫を負ってしまったのだ。その後の全米オープンや世界マスターズには何とか出場したものの、「普段は頭の位置で体のバランスを取っている」という大谷にとっては生活するだけで精一杯の状況だったといい、一時休養を余儀なくされた。
ケガの状態がおさまり、落ち着いて練習ができるようになったのは今年に入ってから。ようやくこの2カ月間でトレーニングと練習をする日常生活に戻ったといい、3月のケイジャンクラシック(アメリカ)ではシングルス準決勝で格上のアニク・ファンクート(オランダ)に勝利。女子ダブルスでは優勝を果たした。続いて韓国遠征では、プサンオープンとテグオープンで2連勝と調子を上げている。
「要所で攻められても、ここまでやってきたんだから負けないぞという気持ちだった。トップレベルの戦いに戻れたことが嬉しかったし、自信を持って戦えたのが良かった」と振り返る。
その勢いを維持して今大会に臨んでいる大谷。「今大会は本当に優勝を狙ってきた」と言い切り、次戦に向けては「得意としている弾むボールと速い展開を織り交ぜてプレーしたい。きっちりと自分の戦いをしていきたい」と、力強く話した。
不屈の闘志で前を向く、彼女のパフォーマンスに注目したい。
(取材・文・撮影/荒木美晴)