フランス・パリで開催されているテニス全仏オープンは8日、車いすテニスのシングルス準決勝が行われた。
女子は上地結衣(三井住友銀行)がイスカ・グリフェン(オランダ)に6-3、6-2で勝利し、7年連続8度目の決勝進出を果たした。第1セットは互いにブレークし合う展開となったが、第6ゲームで上地がサービスゲームをキープ。第2セットは序盤こそ相手の精度の高いショットでリードを許すが、第3ゲームから6連続でゲームを取り、逆転勝ちとした。
決勝では、東京2020パラリンピックの金メダリストで世界ランキング1位のディーデ・デ フロート(オランダ)と対戦する。21連敗中の“女王”を倒すため、車いすを新調し、スピードを上げてプレーするための準備を整えてきた。上地は「球の威力や展開力は、他の選手とは比べものにならないほど速い。自分がやれることに集中して挑みたい」と意気込みを語った。
また、準決勝のもうひと試合で、そのデ フロートに3-6、2-6で敗れた大谷桃子(かんぽ生命)は、「彼女はディフェンスのボールでも、自分的にはオフェンスくらい打たれているボールが結構あった。それでも、自分で仕掛けてポイントになる場面を作れたのは良かった」と振り返った。昨年は、自動車による追突事故の被害に遭い、休養を余儀なくされた。現在は復帰途中にあるものの「最近は勝っていても楽しいと感じられないこともあった」。しかし、今大会は自分の展開に持って行けるゲームもあり、「ようやく楽しいと感じられたし、やっとこの舞台に戻ってきたと実感できた。ここからやっと前に進めそうです」と、言葉に力を込めた。
男子シングルス準決勝は、世界ランキング2位の小田凱人(東海理化)が同7位のマルティン・デ ラ プエンテ(スペイン)を6-2、7-6で破り、2度目の全仏で初めて決勝進出を決めた。小田は第1セットを奪うも、第2セットは追いかける展開に。セットカウント5-6で迎えた第12ゲームは相手のポイントが先行するが、ここぞの場面で集中力を発揮してセットポイントを2度しのいだ。タイブレークも6-6と両者とも譲らない展開となるが、最後は小田がコースを突いたサーブを決めた。
小田は「2セットで試合を締められたのは成長しているところだと思う。決勝は完璧な準備をして臨みたい」と話した。
また、クアードシングルスの準決勝は、菅野浩二(リクルート)が世界ランキング1位のニールス・フィンクに4-6、2-6で敗れ、グランドスラム初の決勝進出はならなかった。
9日は各クラスのダブルス準決勝が行われる。
(取材・文/荒木美晴、撮影/植原義晴)