「天皇杯・皇后杯 第40回飯塚国際車いすテニス大会」は12日、男女シングルスの準々決勝が行われ、女子の第1シードの上地結衣(三井住友銀行)は、第8シードの高室冴綺(スタートライン)を6-1、6-1で退け、準決勝に駒を進めた。
上地と高室が対戦するのは、2022年8月のプサンオープン以来。高室は「前回は憧れが強くて頑張りたいとも思えずに終わってしまったけれど、今回はチャレンジャーという気持ちで自分のプレーをしっかり出していこうと、いろいろトライができてよかった」と振り返り、上地もまた「高室選手のサーブがスライス系で、終始タイミングを探すところが多かった。久しぶりに対戦して面白かった」と話した。
上地は昨年、競技用車いすを新調して以降、常に改善点を模索しながら調整を行ってきた。今年1月の全豪オープンには新しく2台持参し、今回のジャパンオープンではその2台とも違う車いすを使用している。大きく変えたのはバケット部分で、より柔らかい素材にしたことから前後左右に激しく動いても身体にフィットするため、動作のロスが少なくなる効果があり、今までとは異なる身体の使い方によってショットのパワーも上がったという。車いすの重量も軽くなり、座面の位置を下げたことでひと漕ぎの距離も伸びた。「新しい車いすで得た感覚をいかにトレーニングに落としていくか。いろいろな発見があって面白いです」と語っていた。準決勝ではダブルスパートナーであるホタッツォ・モンジャネ(南アフリカ)と対戦する。
男子の世界ランキング2位の小田凱人(東海理化)は同10位のルベン・スパーガレン(オランダ)を7-5、6-4で下し、4強入りを決めた。小田とスパーガレンは昨年の全仏オープン以来の対戦で、小田の4連勝中だ。第1セットは相手の強烈なサーブや攻撃的なテニスの前にリズムをつかみ切れず、小田が追いかける展開に。しかし、4-5で迎えた第10ゲームで0-40と追い込まれながらも粘りのプレーで4度のセットポイントをしのぎ、ブレークに成功。その勢いを維持し、続くゲームも奪取した。第2セットは逆に5-2から5-4まで迫られるが、第10ゲームを5度目のマッチポイントで取りきり、勝利した。
「最後は一発で締めて終われるようにしないとだめ。僕の心のゆるみが出てしまった」と反省を口にする小田。準決勝で対戦する第4シードのゴードン・リード(イギリス)とは、今年1月の全豪で7-6、7-5、続く3月のケイジャンクラシックではフルゲームの接戦の末に小田が勝利している。小田は「今回はもうちょっといいスコアで勝ちたい」と話し、気を引き締めていた。
男子ダブルスは、荒井大輔(BNPパリバ)/眞田卓(TOPPAN)組が第1シードのアルフィー・ヒューエット/リード(イギリス)組に敗れ、準決勝敗退。三木拓也(トヨタ自動車)/小田組はオランダペアをストレートで下して決勝進出を決めた。女子ダブルスは第1シードの上地/モンジャネ組が、大谷桃子(かんぽ生命)/田中愛美(長谷工コーポレーション)組をストレートで退け、決勝で第2シードの高室/アニク・ファンクート(オランダ)組と対戦する。
(取材・文・撮影/荒木美晴)