「天皇杯・皇后杯 第40回飯塚国際車いすテニス大会」は11日、ダブルスの準々決勝が行われた。
男子は第2シードの小田凱人(東海理化)/三木拓也(トヨタ自動車)組、第4シードの荒井大輔(BNPパリバ)/眞田卓(TOPPAN)組がそれぞれ勝利し、準決勝進出を決めた。また、女子は第1シードの上地結衣(三井住友銀行)/ホタッツォ・モンジャネ(南アフリカ)組、第2シードの高室冴綺(スタートライン)/アニク・ファンクート(オランダ)組、第3シードの大谷桃子(かんぽ生命)・田中愛美(長谷工コーポレーション)組が順当に準決勝に駒を進めた。クアードの日本勢は準々決勝で敗退した。
女子シングルスの準々決勝では、大谷がルーシー・シューカー(イギリス)に7-6、6-3で勝利した。シューカーには3連勝中の大谷。しかし、第1セットは「ルーシーにこれまでにない圧をかけられた」と感じるほど、相手の攻撃的な展開に手を焼いた。さらにダブルフォルトが4つとサーブの精彩を欠いたが、徐々に鋭いリターンが決まりはじめ、タイブレークを制した。第2セットもリターンコースを突いて主導権を握り、粘る相手の勢いを止めた。
10日の初戦がケガからの復帰戦となり、「まだ試合勘が足りてないし、ここぞという場面でポイントを落としている」と振り返るが、調子は上向いている。準決勝では、準々決勝のもうひと試合で田中を下したファンクートと対戦する。昨年は2勝1敗と大谷が勝ち越しており、ファイナル進出に向けてギアを上げていく。
男子シングルスは2回戦が行われ、1回戦でフランスの選手に勝利し、スーパーシリーズで初勝利を挙げた世界ランキング62位の河野直史(ロイヤリティマーケティング)が登場。第5シードのヨアキム・ジェラード(ベルギー)に0-6、1-6で敗れたものの、粘りのラリーでジュースに持ち込むゲームもあり、気迫あふれるプレーに観客から拍手が送られていた。「数年前に(同じく世界トップ選手のゴードン・)リード選手と対戦した時は、完敗すぎて収穫すらなかった。今回は負けから得られる課題があり、少し世界に近づけたかな」と振り返った。
骨が折れやすい骨形成不全で3歳から車いすを使用する。とくに脚の骨折が多く、踏ん張りにくいため、競技用車いすでは太ももの裏をクッションで補強して支えるなど工夫をしているという。昨年は、仙台オープンを含むITFフューチャーズの2大会でタイトルを手にした。グレードの違いこそあれど、大会を最後まで勝ち抜いた経験は今季の原動力になり、メンタル面でも成長したという。今大会の男子シングルスで河野は、日本車いすテニス協会の強化指定選手未選出の選手として唯一、2回戦に進出した。「自信になった。今後は世界ランキングを上げながら、まずは強化指定選手に選ばれるように頑張りたい。そして、ワールドチームカップなどでも日本代表として戦えたら」と、力強く語った。
(取材・文・撮影/荒木美晴)